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3月9日  【A3】

第22章 大白


 見知らぬ人の心配なんて、こんな状況の私にされてもねって話だけど。

 慣れてるとは言え、万が一があるかもしれないから。

 荷物の中にあったブランケットを掛けてあげる。

 って、これで亡くなったら、私捕まっちゃう?
 幇助的なのでデューイっぽい人に捕まっちゃう?

 てか、こんな可愛い男の子に声かけてる時点で大丈夫なのか?私。

 「ねぇ…」
 「ん?」
 「お腹すいた…」
 「え?…あぁ、待ってて」

 そう言えば私もお腹すいてきたな。
 …この近くにコンビニはあっただろうか。

 って、なんで私は素直に買いに行ってるんだ。

 と、思いつつ、可愛い子に弱い私は携帯の地図で調べた近所のコンビニへと急ぐ。

 深夜ということもあり若干商品は少なく、ホットココアとコーヒーと、ショーケースに蒸してあった残り一つずつしかない肉まんとあんまんを購入。
 ついでにレジ脇にあったひとつ20円マシュマロもパッケージが懐かしくて購入した。

 急いで御影さんのもとに戻る。

 やはりぐっすり寝ていた。

 「御影さん」
 「ん…、誰…芽李?」
 「あったかいもの買ってきたんですけど、肉まんとあんまんどっちがいいですか?
 後ココアとコーヒーもありますけど」
 「…?」

 のっそりと起き上がった御影さんに差し出す。

 「甘いのとしょっぱいのどっちがいいですか?」
 「甘いの」

 あんまんを渡す。

 「飲み物どっちがいいですか?」

 こっち、と指を刺したココアを渡す。
 甘党派か。

 「ちょっと待ってくださいね?」

 荷物に忍ばせていた紙コップをひとつとりだし、ココアを写し変え、ポンっとマシュマロを乗せた。

 「どうぞ」
 「…ありがとう」
 「いえ」

 もぐもぐとするのを見届けて、自分も肉まんを食べとコーヒーを啜る。

 「少しでごめんね」
 「ううん、ちょうどいい」

 あまり会話も進まないけど、嫌な感じはなくむしろ落ち着く。

 「芽李は、あったかいね」
 「そう?」
 「ん。…ねぇ、これからどうするの?」
 「んー、朝になったら職場に行って、寮を出たことを言ってー、どうしよっかな」
 「寮?」
 「そう。劇団の寮…あ、御影さんお芝居興味あります?」
 「お芝居?」
 
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