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3月9日  【A3】

第21章 白妙


 「ばかやろう!!!どれだけ心配かけさせればいいんだ!!」

 ポカーンとする私に、ドタバタと足音が聞こえる。

 「左京さん?!ダメです!」

 襟首からパッと手が離れたのは、臣君が左京さんを押さえ込んだお陰だ。
 ケホッと一つ咳き込んだあと、そっと背中をさすってくれたのは綴くん。

 「大丈夫ですか、芽李さん」
 「あ、…はい」

 何が何だかわからないと思っていると、視界でピンクの髪が揺れる。

 「姉ちゃん」
 「さく」
 「オレ、ちょっと肝が冷えたよ」

 綴くんの隣に腰を下ろした咲。

 「至さんも、すごく心配してたんだよ」
 「あの、ごめん、話が読めないと、いいますか」
 「あぁ"?」

 ヤクザの睨みは怖いって。

 「低体温症、危なかったんだよ、姉ちゃん」

 咲がやけに落ち着いているのは、多分、多分だけどそれだけ怒ってる証拠だと思う。

 「うす…」
 「左京さんが怒るのも無理ないよ。すごく心配してたんだから」
 「中学生の坊に送らせねぇっつうのは、いい判断だかな、せめて坊から連絡させて俺が行くのを待つとか出来ただろうが」
 「お手を煩わせるのは、と、おもいまして」

 尻すぼみになるのは許してほしい。

 「結局こうやって手煩わせてんじゃねーか!!携帯も金も持たずに、馬鹿野郎!!」
 「っ、」
 「左京さん、そのくらいで」
 「いいや、今日とばかりは言ってやる!いいか、ちゃんと聞けよ!大体お前はな、常日頃考えなしが過ぎるんだよ!」

 左京さんのお説教は、それから1時間程度続き、臣くんは困ったように眉を下げ、咲も綴くんも黙ってそれを聞いていた。

 …うん、でも今回は私が悪い。

 「すみませんでした…」
 「いいか、わかったな?!次なんかあったら絶対許さねぇぞ!!」
 「はい」
 「よし、じゃあお前ら下がれ」
 「え?」
 「はい。…いくぞ、咲也、綴」
 「ちょ」

 臣くんに連れられ部屋を出ていく2人を見送る。
 ベッドサイドに椅子を持ってきて座った左京さん。

 「…」
 「…」
 「おい」
 「はい」
 「雪白に聞いた。冬組を見届けたら、この寮を出るのか?」
 「…」
 「原因はなんだ?」
 「…」
 「ここ最近変なのは茅ヶ崎と何かあったからか?」
 「…」
 「それとも摂津か?ゴット座か??」

 左京さんの目が私を捉える。
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