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3月9日  【A3】

第21章 白妙


 「お、おぅ…芽李さんの話し方緩急強すぎな」
 「とかいいながら、耳真っ赤だよ、万ちゃん」
 「芽李さんに万ちゃんは、ちょっと」
 「文句あんの、やんのか」
 「俺に勝てんの?」
 「逆に私が勝てるとおもってんのか、コラ」
 「ふふっ、」

 肩をギュンギュン回していると、やけに微笑ましく私たちに視線が向いてるのを感じとる。

 「仲、いいんだね」
 「雪白さん」
 「芽李、ボクのことは東でいいよ。って、前に言わなかったっけ?」

 くすっとまた笑って、私と万里くんのそばに寄ってきた東さん。

 「ねぇ、芽李、この子が至?」

 そして、そっと爆弾を投下してくるのだ。

 「ち、違いますよ。摂津万里くんって言って、秋組のリーダーです」
 「どーも。…って、東さんも、至さんのこと知ってるんすか?」
 「まぁ、ちょっとね」

 もう本当に永遠にニコニコしてるんじゃないかと言うくらいの東さんの顔には、悪戯心が浮かんでいる。

 「わざと、ですか?」
 「…ふふ、どうかな」

 前言撤回。
 東さんがMANKAIカンパニーに入るの、すっごく不安だ。
 演技力はおいといて、個人的にすんごく不安だ!!

 「万里くん、ちょっとごめんね。
 東さん、いいですか??」
 「困っちゃうな」

 と言いながら、わたしに引き連れる東さんは、余裕そうに万里くんにひらひらと手を振っていた。

 「東さん」
 「どうしたの?」

 みんなは向こうでわちゃわちゃしてるし、いづみちゃんと左京さんは2人でお話ししてるから、全然問題ないし、多分こうして東さんを連れ出してるのも、バレてない…と、思いたい。

 「あの、改めて言うのもおかしな話なんですけど」
 「うん」
 「あの日、本当にご迷惑をおかけしたなって思ってますし、多分至さんのこともたくさん話しちゃったと思うんですけど、忘れてください、お願いします」
 「どうして?」

 ニコニコしてるくせに、圧力がすごいぞ、この人。

 「どうしても、です!」
 「ふーん…でも、マスターから聞いたよ」
 「マスターから?」
 「ちゃんと、時間内に至、来てくれたんでしょ?」
 「時間内?」
 「ふふ、まぁそこは気にしないで。いい雰囲気だったって、言っていたよ」

 お世辞にも程がある。

 「何かの、間違いだと思います」
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