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3月9日  【A3】

第20章 白雪


 「綴くんもか」

 この時間まで寝ているのは珍しい。

 「2人とも起きてー」

 と、ここまで熟睡していてそんな声がけで起きるはずもない。
 どちらを起こすのが先か。

 とりあえずカーテンを開ける。

 明るくなれば起きてくれるだろうかと思ったけど、やはり熟睡しているので、それぐらいでは起きない。

 また少し考えて、…綴くんだな。

 ベットの梯子にあしをかけ、肩をゆする。
 もぞもぞと動く。

 「んん…にぃちゃん、まだ、寝てたい…だ」

 兄ちゃん…だと?

 ひえ。
 …うちの弟に負けず劣らず、かわいい。

 寝ぼけているようで可愛い。

 「綴お兄ちゃんや…」
 「ん…」
 「綴お兄ちゃん、おきてー」

 返事をもらったことをいいことに、調子に乗って呼び続ける。

 何度か肩を揺すった後も声をかけていると、ようやく起き上がった綴くん。

 「お前らいい加減に!……って、芽李さん!?」

 目をまんまるくしている。

 「おはよう、綴お兄ちゃん」

 ツッコミを期待してニッコリと待ったが、返ってきた反応は私が欲しいものではなかった。

 「え?どっから夢?」

 誰がお兄ちゃん?!を期待していた。
 一体どんな夢を見ていたんだろう。

 「いや。わかんないけど、…真澄くんが起きてこなかったから起こしに来たら、綴お兄ちゃんも寝てたからさ。
 大学、遅れちゃうよ」

 そういうと、ワタワタとし始める。

 「そうだ!!ありがとうございます!レポート夜中までかかってしまって、真澄起こして俺もすぐ行くんで!」

 その必要はないみたいだ。
 隣のベットで、もぞもぞと動く影。
 
 「…うるさい」

 起き上がった真澄くん。
 ひょこっと寝癖ができ、目を擦っている。

 「真澄くんおはよう」
 「真澄お前いつから起きてたんだよ!おはよう!!」
 「綴もうるさい、ずっと起きてた。
 兄ちゃんまだ寝てたいってとこから」
 「割と序盤。まぁ、いいや。2人とも早く支度するんだよ。ご飯はできてるからね」
 「序盤かよ!わかりました。ありがとうございます」

 ここは綴くんに任せて、朝に回した洗濯物を干して…っと。
 綴お兄ちゃん呼びはツッコミがなかったので、また呼ぼうとおもう。
 などと考えつつ、梯子を降りて102号室を出る。
 そのまま、脱衣所へと向かった。
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