第20章 白雪
顔を洗って歯磨きをして、朝の支度をチャチャっと済ませる。
仕方ないから服は脱衣所で着替えて、昨日出された洗濯物も一緒にそのまま洗濯機を回す。
脱衣所から出た後、キッチンへと向かい朝食とお弁当の準備を始める。
今日は何にしようか。
冷蔵庫を見ると、昨日の宴会のあまりが結構入っている。
アレンジできそうなものはして、そうじゃないものは手抜きだけどそのまま出そう。
黙々と考えながら作業を進める。
そのうち臣君をはじめに、続々と起きてきた面々。
とびかうおはようの挨拶に、なんだか微笑ましく思う。
「おはよう、芽李さん」
「臣くん、おはよう」
「昨日の残りも結構余ってるな」
「うん。アレンジできるものはして、あとはそのままだそうかなって。手抜きかな?」
「ははは。いいんじゃないか、たまには」
「そうだよね」
手を洗って、隣に立つ臣くんは当たり前のように朝食の支度を手伝ってくれる。
もう少ししたら、至さんを起こさないと。
チラッと時計を見た時、ちょうど咲が寄ってきた。
朝イチでも可愛い、弟。
寝癖もご愛嬌だ、可愛い。
なんて、監督に対する真澄くん化しそうになった時、咲が口を開いた。
「芽李ねぇちゃん、おはよう」
「咲、おはよう」
ニッコリ笑った咲が可愛い。
「そういえば、昨日どこか行ってたの?」
「あぁ。うん。…昔馴染みの知り合いが、こっちに来てるからってお誘いうけてね。
それで、ちょっと出かけたの。寮出る時、幸くんに声はかけたんだけど」
「まさか、親戚の人?」
「違うよ。ただの友達」
「そっか」
嘘はよくないと思いながらも、寮を出た経緯を馬鹿正直に言えるわけもなく、ついでに言うと知って間もない男性と誘われたからお酒を飲んでましたなんてもっと言えるわけないし。
…って、そうだ。
東さんに電話を貸したあと、そこからの記憶があやふやだ。
あやふやって言うか、どうでもいいやって投げやりに度数の高いお酒を何杯か飲んだことまでは覚えている。
それからどうなったっけ?
思い出したら、至さんが部屋にいたことも思い出せそうなのに。
迎えに来てくれたんだっけ?
…って、それは都合がよすぎるか。
至さんにあんな顔させといて。
じゃあ、どうして部屋にいたんだろう。