第4章 寒緋桜
「ほんとーに、大丈夫なんですよね?!この作戦で」
「大丈夫ですって、私と咲也くんそれから亀吉にお任せください!どどーんと、船に乗ったつもりで!」
船じゃ心許ないのわかってるのかな?大船じゃないと。
まぁでも、咲が可愛いから全力で豪華客船くらいの気分ではあるんだけど。
今なら世界500000000周くらいできそう。
「信じますよ、私もう出なきゃいけないですけど…」
今日は弟の初舞台。
お粗末な脚本と手作りの段ボールのセットに本当にこれでいいのかと考えに考え過ぎて、500000000周回って実は名作なんじゃ?と眺める脚本。
ゲシュタルト崩壊もいいとこだ。
使い方あってんのかわからないけど。
その名も”ロミオの学園天国"
キャストに鳥なんてすごいな。
ほんと亀吉天才だし、脚本は奇才すぎる。
「佐久間くん大丈夫?ほんとに、あのー、緊張したら入の字を手にかいてね、それを飲み込んでね、」
「それを言うなら、人では…あはは、
はー…よし、オレ頑張ります!」
「うん、そのいき!とりあえず記念に写真撮ろっか。
はい、チーズ」
あ、ピースして笑ってる。
かわいい。
待ち受けにするとバレるから、ホーム画面に設定しとこ。
「じゃあ、本当に行くね、任せちゃってごめんね!」
「はい!頑張ってください!酒井さん!」
可愛い笑顔で見送ってくれる。うん、癒し。
ストレスフリーな社会にするために、一家に一咲也…なんて。
咲に名前を呼ばれると少しだけずきっとするけど、これは自分に対しての罰。
自分勝手でどうしようもない。
本当のことに気づいたらなんて思うんだろう、ね、咲。