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3月9日  【A3】

第4章 寒緋桜


 「ほんとーに、大丈夫なんですよね?!この作戦で」

 「大丈夫ですって、私と咲也くんそれから亀吉にお任せください!どどーんと、船に乗ったつもりで!」

 船じゃ心許ないのわかってるのかな?大船じゃないと。
 まぁでも、咲が可愛いから全力で豪華客船くらいの気分ではあるんだけど。
 今なら世界500000000周くらいできそう。

 「信じますよ、私もう出なきゃいけないですけど…」

 今日は弟の初舞台。
 お粗末な脚本と手作りの段ボールのセットに本当にこれでいいのかと考えに考え過ぎて、500000000周回って実は名作なんじゃ?と眺める脚本。

 ゲシュタルト崩壊もいいとこだ。
 使い方あってんのかわからないけど。

 その名も”ロミオの学園天国"

 キャストに鳥なんてすごいな。
 ほんと亀吉天才だし、脚本は奇才すぎる。

 「佐久間くん大丈夫?ほんとに、あのー、緊張したら入の字を手にかいてね、それを飲み込んでね、」

 「それを言うなら、人では…あはは、

 はー…よし、オレ頑張ります!」

 「うん、そのいき!とりあえず記念に写真撮ろっか。
  

 はい、チーズ」


 あ、ピースして笑ってる。
 かわいい。 
 待ち受けにするとバレるから、ホーム画面に設定しとこ。

 「じゃあ、本当に行くね、任せちゃってごめんね!」
 「はい!頑張ってください!酒井さん!」


 可愛い笑顔で見送ってくれる。うん、癒し。
 ストレスフリーな社会にするために、一家に一咲也…なんて。 

 咲に名前を呼ばれると少しだけずきっとするけど、これは自分に対しての罰。

 自分勝手でどうしようもない。

 本当のことに気づいたらなんて思うんだろう、ね、咲。
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