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3月9日  【A3】

第4章 寒緋桜


 だいじょうぶかなー、咲…

支配人も、ちゃんと説得してくれたかな…

あぁ、心配すぎて、どうしよう…っ、


 「おーい、聞いてる?」
 「ごめん、聞いてない」
 「おい、仮にも客やぞ。

 …ったく、ボクの注文受けられるって言うのになにその顔。
 上の空すぎない?ブサイクなんだけど。」

 「黙って、山田。」

 「いや、飛鳥じゃ!飛鳥晴翔じゃ!!」

 「ふっ、」

 「ナニ、感じ悪いんだけど。店員チェンジで」

 「あー残念。今おばあちゃん腰の病院に行ってるから、私だけなの。でもよかった、弦ちゃんのネタ見たら元気でた。ありがとう」

 「…晴翔って呼べよ。お前のくせに。で、いつ来るの、僕らの元に。」

 「行かないよ。私にもやることあるし。でもレニさんにはよろしく言っておいて。またご飯お願いしますって笑」

 「レニさんはお前に構ってる暇ないんだけど。」
 「じゃあ晴翔でいーよ、」

 かァッと真っ赤に染まった顔にニコッと笑うと、バタバタしながら帰っていった飛鳥晴翔 23歳 (ウブ)

 おばあちゃんが彼を弦ちゃんと呼ぶから私も真似してそう呼んでる。

 可愛いんだ、ツンデレな感じが。

 彼も劇団に所属しているらしく常連さんの神木坂レニさんの元で俳優をしているらしい。
 紫のサラサラ髪を靡かせて神々しく店に入ってきた時には思わずえ、神様ご来店なの?と本気で思った。

 それについてきたのが山田の弦ちゃんこと、飛鳥晴翔。
 (本名はちゃんと教えてくれたことがないのでわからない)

 どんな魂胆があるのかは知らないが、ことある度に劇団にスカウトしてくるため、最近では軽くあしらうようになった。

 ほんとに、このお店に立つようになって知り合い増えたな…
 
 「あ…商品忘れてる。」

 お金だけ払って帰ってしまった彼を追いかけるか否か迷っているとちょうど病院からおばあちゃんが帰ってきたため、そのまま伝えると、届けながら上がっていいよとのこと。

 らっきー、

 早く届けて寮に帰ろう。
 咲が心配だから…。




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