第17章 琴平
確信に迫るような一言を続けようとしたのに、
「どうしたの、至さん」
先に口にした芽李の目はキラキラと輝きだし、変なスイッチを入れてしまったことに気づく。
その表情だけで分かる。
咲を褒めた時とおんなじような顔してる。
「幸くんは、当たり前に出会った時から?いや、出会う前からかっこいいよ、すでに。
私マンパニメンバー全力儲だから、いまから全然一年位語れるけど聞く?」
コンマ何秒というスピードで、ババっとノンブレスで言う。
ナイランについて語る俺かよ。
「はぁ……」
ムードクラッシャーめ。
「お前さぁ、」
恨めしくおもいつつも、幸とこいつのムード壊したの意図的に俺だし、なんて思ってやめた。
「…って、半分俺のせいもあんのかな。まぁ、いいや。はよ。コーラ持って部屋戻ろ」
芽李の涙の跡と、少しできたクマをどうにかしてやるのが最優先だ。
「私が至さんの部屋行くのは確定なの?」
「うん。だって、片付けとか準備とか気が済んだでしょ」
「気が済むって」
「慰めるのだって、幸がしてくれたようだし?」
これはヤキモチ。
「はい?」
いじけたふうに言っても、ちゃんとは伝わらないんだろうけど。
「今日は、功労者の幸に譲っただけだから。あとは、至さんのターンね」
だから、せめて、甘やかすのは俺にさせてよ。
「…至さん、何言ってるかわかんないんだけど」
「とりあえず、コーラ」
グイグイっと俺のペースに乗せて、コーラはもちろん持って部屋まで戻る。