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3月9日  【A3】

第17章 琴平


 確信に迫るような一言を続けようとしたのに、

 「どうしたの、至さん」

 先に口にした芽李の目はキラキラと輝きだし、変なスイッチを入れてしまったことに気づく。

 その表情だけで分かる。
 咲を褒めた時とおんなじような顔してる。

 「幸くんは、当たり前に出会った時から?いや、出会う前からかっこいいよ、すでに。
 私マンパニメンバー全力儲だから、いまから全然一年位語れるけど聞く?」

 コンマ何秒というスピードで、ババっとノンブレスで言う。
 ナイランについて語る俺かよ。

 「はぁ……」

 ムードクラッシャーめ。

 「お前さぁ、」

 恨めしくおもいつつも、幸とこいつのムード壊したの意図的に俺だし、なんて思ってやめた。

 「…って、半分俺のせいもあんのかな。まぁ、いいや。はよ。コーラ持って部屋戻ろ」

 芽李の涙の跡と、少しできたクマをどうにかしてやるのが最優先だ。

 「私が至さんの部屋行くのは確定なの?」
 「うん。だって、片付けとか準備とか気が済んだでしょ」
 「気が済むって」
 「慰めるのだって、幸がしてくれたようだし?」

 これはヤキモチ。
 
 「はい?」

 いじけたふうに言っても、ちゃんとは伝わらないんだろうけど。

 「今日は、功労者の幸に譲っただけだから。あとは、至さんのターンね」

 だから、せめて、甘やかすのは俺にさせてよ。

 「…至さん、何言ってるかわかんないんだけど」
 「とりあえず、コーラ」

 グイグイっと俺のペースに乗せて、コーラはもちろん持って部屋まで戻る。
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