第15章 一葉
「嬉しいけど、…家事は臣くんの方がよっぽど上手いし」
「それだけじゃない…このカンパニーに辿り着いた奴らって、何かしら事情がある奴が多いだろ?」
「まぁ…そうかも?」
「傷を癒すように、1人1人にちゃんと寄りそって、向き合って、そばに居てくれる。
言葉をかけて、信じてくれる…それってやっぱり心強いよな。
そんな存在なんじゃないか?みんなにとっても、もちろん。俺にとっても、だから、必要なんだよ」
臣くんがいい終わったところで、チンッとオーブンが鳴った。
いい匂いが立ち込める。
「って言うのがここ数日見てきた、俺の見解だ」
オーブンを開けながら言う。
「臣くんってさ、」
「ん?」
「モテるでしょ」
「何の話だ?」
含みのある笑顔を向けて、コトッとオーブン皿を台へと移す。
「何の話してるの〜っ」
ぴょーんっと飛んできたのは三角くん。
「三角ある〜っ、三角食べていい??」
「朝ごはんだから、もう少しまってくれるか?」
「しょぼーんっ、で、何のお話してたの〜っ」
「MANKAIカンパニーで、芽李さんがどんなに大切かって言う話」
三角くんの綺麗な目が私を捉える。
「そ〜なんだぁっ!めいはね、と〜っても三角!と〜っても大事!絆創膏みたいで、優しくて大好き〜っ」
「ほらな?」
かぁっと赤くなるのを感じる。
「まっかっかだぁっ」
「まっかっかだな。三角、これ運んでくれるか??」
「いいですよ〜っ」
話題が移ってよかった、と胸を撫で下ろす。
三角くんがテーブルへと朝食を運んだ事で、談笑してたみんなもキッチンまで食器とかを取りに来てくれる。
そして、ずずっと無言で近づいてきた至さん。
その後ろに万里くん。
「芽李、三角と臣に口説かれてたでしょ」
「は?い!?」
「芽李口説いていいのは俺だけだし、芽李が口説かれてもいいのは、俺だけだから。わかってる?」
むすーっとそんな事言ってくる。
「よゆーねー男は嫌われんぞ。至さん。
芽李さん、俺もアンタんとこ千穐楽に口説く予定。
惚れさせてやっから、覚悟しとけ〜」
「なっ!万里お前…夜フルボッコにしてやるから、覚悟しろよ?」
「物理的に?」
「ゲームに決まってんだろ」