第15章 一葉
「ーっ!嬉しいですっ」
「朝から、いいものを見た。芽李も咲也もかわいいね。茅ヶ崎家に養子にくる?
むしろ俺を養子に入れて、扶養にしてください」
「咲、行こ」
「芽李が冷たい…」
ガーンっとしてる至さんを置いて、キッチンにつく。
「臣くん、スコーンやいてるの??」
「あぁ」
「私も手伝っていい?」
「あぁ。って、出かけるんじゃないのか?」
「至さんが、乗せてってくれるっていうから。時間できたし、スコーン余ったら、少し貰って行ってもいい?」
「あぁ、もちろん。そしたら、早速こっちの生地まぜてくれるか?」
「うん!」
モギュモギュと、材料を混ぜてく。
「そういえば、」
「なぁに?」
「よかったな。咲也とのこと」
「うん、ありがとう。臣くんにも心配沢山かけちゃったね」
「そんなことないさ」
優しく笑った臣くん。
コトコトと、鍋でジャムを作っている。
「左京さんなんだけどさ、」
「うん?」
「大人だし、厳しいこともいうし、なにより素直じゃないけどさ。
MANKAIカンパニーが好きって気持ち、多分私じゃ勝てないくらい思ってる人だと思うから、」
「あぁ」
「脈略のない話してごめん。
あとね、万里くんなんだけど、私、安心した。
リーダー、彼に任せてくれてありがとうって、ほんとにどこの目線で言ってんだよって話なんだけどさ。
初めて会った時、すごく寂しそうなつまらなさそうな目をしてたから、だから、今の万里くんすごくいい表情してて安心した」
「そうだな、」
思い当たる節があるのか、クスッと笑う。
「十座くん、ポートレイト見た時感動しちゃった。
あんなに一生懸命に、舞台で演じてて、向き合い方がすごく硬派で、ドキドキしちゃった」
「俺もそう思うよ」
「あと、臣くんも」
「俺も?」
「うん、なんか…生き生きしてる。
けど、何かあるのかなって、ちょっと心配」
「…そうか」
「あと、太一くんも」
「ん?」
「なにかあるのかな、…時々生き苦しそうで。
消えちゃいそうで、なんか、心配」
「…」
「って、ごめん!なにを言いたかったっていうと、ほんとに、秋組の公演楽しみって話で!
だから、みんなにも純粋に舞台立つの楽しんでほしいって言うか。
昨日の衣装合わせ、少しきになって」