第15章 一葉
「段ボールばっかりあってもジャマだし、一つずつ片付けるか」
「そうだな」
男手が多くて助かる。
こういう、作業の時は。
「芽李さん、こっちいい?」
「うん、あー、万里くん」
「あんだよ」
「15位から同率3位まであがったよ」
「何がだよ」
「私的世界一可愛い弟ランキングだよ」
「なんでだよ」
言いながら、耳を赤く染めてる。
「太一くんにムキになったとこ」
「う」
「なんか、少し万里くんのことわかった気がする。もっと知りたいけど」
「…俺のこと知りたいなら、芽李さんの彼氏にしてもいいやつランキング1位にしろよ」
言いながら照れてる。
そう言うとこだぞって言いたい。
「うーん、ガチレスするとさ」
みんながそれぞれ動いてるのをいいことに、
「なに?」
「万里くん確かに器用だし、奥さんになった人凄く幸せだと思うんだけどね」
手を動かすのはやめずに、本音をこぼす。
「婚約者と、好きな人がいるので。万里くんがもし私を想ってくれるなら、それには応えられないよ」
なんて。
「万里くん?」
固まった万里くんに、まさか本当に私を想ってくれていたとしたら、さっきの伝え方は不誠実だったんじゃないかと思い始める。
「は?え?」
「万里くん?」
「好きな人はともかくとして、婚約者ってマジ?」
「マジ」
「って、違うだろ。好きな人が婚約者になるんだから、つまりえっと?」
嘘みたいに万里くんがポンコツになってる。
いや、ならざるをえない事を私が言ったのかもしれない。
「今の話って登場人物2人って事だよな?」
「そうだね」
「…へぇ」
「何?」
「好きな人って至さんだろ?」
「ぇ」
「婚約者って、カンパニーの人間?」
「……」
「大体読めたわ。あんま、無理すんなよ」
ポンっと頭を撫でて私の分まで荷物を持つと、スタスタと行ってしまった。
ポカーンとする私。
いや、アレだけで分かったの?
流石に万里くんすぎない?
万里くんすぎるってなんだ。
やっぱり弟ランキングじゃなくて、私的世界一良い兄ちゃん的ポジションランキングの方の同率3位に入れてあげよう。
ちなみに1位はお察しの通り、綴くんである。