第14章 冬桜
ぎこちない距離で少し不器用な私たち姉弟は、ゆっくりと関係を構築していこう。
どこか歪でもいい、だけど、もう…離れないように。
「今日はもうおそいから、明日話そう。ねぇちゃん、ベット使っていいよ」
「いや、いいよ!部屋戻る」
「ねぇちゃんの布団、多分干してないよ。オレのは昨日干したばっかり」
「う、…じゃ、じゃあさ!じゃあ、一緒に寝よう!」
「は?!」
今日一のは?!をいただいたところで、咲の背中を押す。
「いいじゃん、姉弟なんだから。問題ない」
「ちょ、」
咲にばっかりリードされるのも悔しいし。
渋々ベットに上がった咲を追いかけてのぼり、2人で狭いベットに寝転がる。
「まったく、強引なんだから」
「咲のおねぇちゃんだからね。電気消すよ?」
「うん、…なんか、こうしてると思い出すね、」
「そう、だね」
電気が消えて、感じる咲の体温に酷く安心して。
「ふぁあっ」
布団を半分こずつ掛けて、それだけで幸せな気持ちがした。
そして、ゆっくりと眠気が襲ってくる。
咲が何か言ってるのに、…。
あした、ちゃんと聞くからね。
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人の気も知らないで、隣で寝息をたてる姉に言いたいことは山程あった。
自分勝手だ、とか
1人で抱え込むな、とか。
だけど、結局それはオレを中心に考えてくれてるからって、本当はわかっていた。
だから、あの時離れたんだ。
オレがいなければ、この人がもう少し楽に生きられると思ったから。
ゴロンと寝返りを打って、モゾモゾとオレに擦り寄るこの人は、本当に姉かと疑いたくなるほど、目を伏せているだけで幼く見える。
だから、ぎゅっーっと抱きしめてみた。
壊れそうで、壊したくない。
だけど、誰にも取られたくない。
オレが守ってみせる、こんどこそ。
なんて、らしく無い。
そうしてるうちに眠くなって、オレも目を閉じた。
なんだかすごくいい夢が見られた気がする。
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目覚ましが鳴って、朝を迎えたのだと覚醒しきらない頭で思う。
自分に巻き付いているうでで、ここが自分の部屋ではなかったことを思い出した。
んんっと、身を捩らせた咲も私と同じで目覚めはいい。
「……おはよ、ねぇちゃん」