第13章 ※不断桜
「だって、アンタが言ったんだろ?」
その言葉に首を傾げる。
「アイツと…もう喧嘩すんなって。
拳じゃなくて違うので勝負すればいいのにって。
オレは、綺麗な顔してるから、
背も高いし、堂々としてるから、舞台映えしそうだって」
…そんなこと、言ったかもしれない。
「そんなこともあったね」
「つってもまぁ、劇団入ったのは、不可抗力だったんだけどな。
でも、オーディション時からずっと…オレの中にアンタの言葉があったんだよな」
少しだけしょんぼりとした表情に、ちょろい私はグッときてしまって。
「そっか、…どこの劇団にいたの?」
「…」
俯いた顔に、嫌な予感がよぎる。
「まさか、ゴット座?!まさか、晴翔にいじめられた?!
怪我してない?!ないよね、…よかった!
いつでも言って?!
万里くんのこといじめる奴、私がギッタンバッタン薙ぎ倒してやるからね?!」
私の中でいじめっ子確定しつつある、ゴット座。
向こうのファンの皆さんには、この場を借りて謝るけど!
「…ふっ
こんな細ぇ腕してんのに?一髪でKOだろ。
…それに、オレがいじめられっ子って、本当に思ってる?」
思わないけど。
万里くん強そうだし。
「でも、私、おねぇちゃんだから、ガチつよだよ?!」
ボクシングをするようにシュシュっとすれば、万里くんの表情が少し柔らかくなった。
「そういや、アンタの弟ってさ…咲也だろ?」
「え?なに?!咲にいじめられたの?!そんなことないからね?!うちの子すんごく良い子だし、優しいし、天使だし、可愛いし、天使だし」
「わかった、わかったっつーの!天使2回言ってんぞ。
咲也にオレがいじめられるわけねーだろ。
あと、ゴット座も晴翔っつーのも知らねぇよ」
ホッと胸を撫で下ろす。
「え?…じゃあ劇団って?」
「芽李さんも、知ってるだろ?MANKAIカンパニーだよ」
「え?!」
「ゴット座とか、MANKAIカンパニー以外にも劇団はあるけどな…」
「MANKAIカンパニーにいじめっ子なんていたかな?…んー」
「いじめられっ子解釈すんなよ、ばか。ちげーってぇの」