第3章 支那実桜
だけど、項垂れたいのは私だ。
考えが甘かったのも私だ。
なにより、
この旅の目的だった、弟を探すこともややというか…
かなり難航していて。
まぁ、そもそも先に調べて出なかった私も私なんだけど。
そもそも足取りなんて掴めてなかったし、
この劇団のことも、
なんだかんだで務めてる花屋さんのことも、
すっかり情が湧いちゃって、やめるにやめられなくなってる事に気づいたのはだいぶ前だ。
せめて、旗揚げして4公演みるまでは…
おばあちゃんのお花屋さんを継いでくれる人が見つかるまでは…
って、途方もないな…コレ。
終わるまでに私がおばあちゃんになりそうだ。
「おっしゃる通りです…で、でも!
でもきっと、なんとかなりますよ!!…ね?」
私だって、ここにきて3ヶ月くらいまでは思ってた。
「左京さんのおかげで持ってるようなもんですよ」
自分にだってブーメランのくせに…。
「とにかく!この現状、危ない壊れかけた桟橋くらい危ういですし、この寮で明日を迎えられるかどうかは支配人の腕次第では?」
「おっしゃるとおりです…」
おっしゃるとおりしか言わない支配人のやる気を出すために、少し強めに言う。
偉そうかも知れないけど、焦ってるのは私だけのような気がして発破をかける。
「支配人、今私たちができるのは持ち堪えることです。
それだけじゃなくて、現状維持じゃなくて先に進むこと」
「…」
「私、ほんとに楽しみなんです。
支配人が言ってたみたいにこの寮でたくさんの声が、劇場でお客さんの笑顔を見るのが。
支配人にも、亀吉にもたくさん笑って欲しいですし。
しっかりしてもらわなきゃ困るんです。
でも、拾ってもらった恩もあるし私も頑張ります。
だから、」
「芽李さん…………
わかりました!この松川伊助、粉骨砕身頑張ります!
まずは、なにすれば…」
それは私も聞きたい。
そして似たようなやりとりを、ここ2ヶ月ほどずっとしてるんですけども。
…‥2ヶ月?
「…あ、そう言えば!」
「へ?」
と、思った時思い浮かんだのは、劇場の前の掲示板。