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3月9日  【A3】

第11章 染井吉野


 「へぇ、じゃあ芽李さんは、劇団員寮に居るんだ」
 「うん。臣くんの写真に惚れちゃってね、撮ってもらいたいって思ってたから、今回頼まれてくれて本当に嬉しかったんだぁ」
 「臣にぃ、写真部冥利に尽きるね」
 「そうだな」

 MANKAIカンパニーも、男世帯だけど…やっぱり血のつながってる家族は違うな。

 「あ、この唐揚げ美味しい」
 「はは、いっぱい食べてくれ」
 「だよな、俺も臣にぃの唐揚げすきなんだ。臣にぃ、なんでも美味しくつくれるんだ」
 「そうなんだぁ。すごいなぁ、臣くん今度私にも教えて?みんなに作ってあげたい」

 和気藹々と、食事を食べる。
 臣くんのお父さんは残業らしくて、この日お会いすることは叶わなかったけど。

 「もちろんだ」

 でも、お陰でいい気分転換になった。

 「食事が終わったら、例の写真渡すな?」

 臣くん、優しくてお母さんみたいだ。
 私にお母さんがいたのは遠い昔だけど…。

 「うん、ありがとう。ごめんね、食事までいただいちゃって」
 「俺がしたかっただけだから、気にするな。美味しそうに食べてくれて俺も嬉しい。それに、妹ができたみたいで嬉しいよ」
 「じゃあ、俺たちの姉ぇちゃんだな。」

 満面の笑みで言ってくる。
 高校生かわいいな。

 「えぇ?可愛い弟たちは嬉しいけど、私臣くんより歳上なんだけど」
 「ははは、」
 「カンパニーに入ってから家族増えちゃって困っちゃうよ。お兄ちゃんと弟がいっぱい」
 「そうか。そういえば、芽李さんは兄弟とかいるのか?」

 言ってなかったっけ…。

 「居るよ、咲っていうの。とっても可愛い弟、私の1番大切な子。
大好きで何からも守ってあげたいって、思ってるんだけど…いっつも力不足で、傷つけてばっかりで」
 「じゃあ、俺らとボクシングする?」
 「岳、そういうことじゃないだろ」
 「ふ、そうだね。考えとく」
 「ほらな。開にぃ、そういうことだって」

 あっかからんとする、伏見弟達になんとなく気分が明るくなった。

 「ご馳走様!」
 「ご馳走様でした!」
 「ご馳走様、美味しかった」
 「お粗末さま。片付けたら写真とってくるよ」
 「あぁ、待って。片付けは私がやるよ、せめてそれくらいさせて?」
 「…じゃあ、お願いしようかな。悪いな」

 
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