第10章 大島桜
そう言って、差し出してきたカレーパン。
「俺と半分こしよう」
ホカホカのカレーパンを綺麗に二つに割って、当然のように包み紙がついてる方を差し出してくる。
「ありがとう」
反射的にそれを受け取る。
まだらに感じる味に、やっぱりどこかおかしいんだと確信しつつ、
「美味しいね」
と、呟く。
「うん、」
真澄くんが満足そうにうなづいてくれたから、やっぱり美味しいんだと思った。
カバンから取り出したウエットティッシュを差し出せば、ありがとうと受け取った真澄くん。
「また付き合って、カレーパン買うの。」
「監督じゃなくていいの?」
「監督がいいけど、でもたまにならアンタとも出かけたいから」
「そう」
…その間もちびちびと食べすすめて、寮に着く頃ようやくすべて咀嚼し終えたカレーパン。
玄関を開ける前から、にぎやかな声が聞こえる。
「メイメイまっす〜おかえりんご!二人揃ってなんて珍しくね??」
出迎えてくれたのは、たまたまそこにいたカズくん。
「はは〜ん、デートとか?」
「制服の少年捕まえて、デートとか捕まる未来しか見えない」
「俺がデートするのは監督だけ。」
「じゃあさ、じゃあさ、メイメイ今度オレともデートしよ?」
「はいはい。」
適当に返してるうちに、真澄くんはしれっと監督のとこへ向かってどこかに行ってしまった。
「よっしゃー、言質とったー!」
「夏組公演終わったらね」
「まじで?!良いデートスポット探しとくね?遊園地いってー、花火見てー、」
「はいはい」
靴を脱いで、下駄箱にしまう。
「カズが抜け駆けしてる!ずるいっ、めいオレともさんかくデートしよう?」
次々と集まってきたのは夏組のみんな。
「三角星人、チャラ男玄関で話してないでさっさと中入れてあげなよね。芽李さん、オレもアンタと服買いに行きたいんだけど」
「みんな凄いなぁ、僕も芽李さんと、あんなことや〜こんなこと、なんて、僕なんて」
こんな時にリーダーはどこに行ったんだか。
「あー、分かった分かった!天馬くんも誘ってみんなでどっかお出かけしよう、公演終わったら!」
「オレがなんだって?」
「あ、天馬くん」
「芽李さん、おかえり。」