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3月9日  【A3】

第10章 大島桜


 制服を見ながらいう。

 「うちの子と同じ制服だから、そうかなって。…今日は学校のはずじゃない?」
 「課外学習。」
 「へぇ。」

 そろそろ職場に着くなぁと思っていると、万里君は大きなあくびをひとつ。

 「嘘だけど」
 「だろうね。」
 「学校行ってもつまんねーんだよな、一回見たら出来っし。」
 「それは凄いね。」
 「休憩って言ってたけど、アンタ、なんの仕事してんの?」

 タイミングよく、職場の前に到着する。

 「ここ。」
 「え?ここ?」
 「そうそう。
 …と言うことなので。じゃあね、万里君。」
 「あら、芽李ちゃん、戻ったのねぇ」

 ちょうどお店に降りて来ていたおばあちゃんに出迎えられ、にっこりと笑う。

 「お客さん?」
 「たまたま知り合った子と、さっき偶然会って。」
 「あら、まぁそう。お名前は?」
 「摂津…万里です。」

 ぺこっとお辞儀をした万里くん。

 「ふっ、」
 「何笑ってんすか」
 「なんか、年相応でびっくり。ふふ。」

 むすっとした彼と私を見て、おばあちゃんがフワッと笑って、

 「いい子じゃないのぉ、ほら、おあがんなさい」

 って言うと、びっくりしたような表情をする万里くん。

 「店長もこういってるし、課外学習なら寄ってけば?暇してるんでしょ?」
 「ま、まぁ…」
 「課外学習なの、万里ちゃん?」
 「あー、まぁ?」
 「それなら、お店手伝ってくれないかしら?」
 「いいっすけど…」

 言われるがままに、中に入ってきた万里くん。
 おばあちゃんの強引さに笑ってしまう。

 「芽李さん、笑いすぎ。」
 「似合ってるよ、エプロン」
 「っ、当たり前っしょ。…ばぁーちゃん、オレ何すればいい?」

 意外すぎる一面。

 褒めたら割と嬉しそうだったり、すぐにこの店に慣れてしまったり。
 おばあちゃんは男手は助かるとにっこりと笑って、こきつかってる。

 万里くんもなんだかんだで楽しそうだ。


 …それを見てたら、少しだけ気持ちが楽になった。


ーーーーー

ーー


 そして夕方…。


 「万里ちゃん、今日はありがとねぇ」
 「苗運ぶのとか、水運んだりとか、やっぱり力仕事だし助かったよ」

 私とおばあちゃんでそう言えば、万里くんは照れたように笑った。



 

 
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