第10章 大島桜
中途半端な食材たちを見ながら、この際洋食も和食も何でもつくって、バイキング形式にしようと取り掛かる。
ジャーっと、シンクにぶつかる水の音がやけに響いてる気がしてうるさい。
鍋に水を入れてかけた火が、いつもより心もとない気がして中火にあったつまみを一気に強火の方に回した。
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「おはよー。」
「おはようございます!芽李さん、わぁっ凄いです!!」
一番最初に顔を出したのは、幸くんと椋くん。
「芽李さん?」
「おはよう!夏組のみんなも春組のみんなも頑張ってるからね、朝から張り切っちゃった!」
スッと、カミソリで線が入ったようなそんな感覚。
じわっと時間をかけて血が滲むような、
「おっはよー!すっげぇ!いい匂い!!」
朝から元気なカズくん。
「おはよう、カズくん。三角くんも、天馬くんもおはよう」
「おはよう〜あ!!おにぎりだぁっねぇねぇ、一個食べてもいい?」
「おい、三角。朝練終わってからだ。おはよう、芽李さん」
夏組は朝練の後にご飯だもんね。
「小腹すいたなら、少しだけ食べてけば?腹が減っては何とやらでしょ、君たち若いんだから」
「オレもそ〜おもう。さんかくおにぎりは、さんかくだから食べた方がいい」
このさんかくきれい〜と、一番乗りで取ったのは三角くん。
「オレももーらお。テンテンもたべなよ、ほら」
三角くんに続いてかずくん、
「ならオレも。」
幸くん、
「ボクも!いただきます!っん〜!おいしいです!」
椋くんの後に、
「わっ、ちょ!一成いきなり口に、」
天馬くんは無理やり口におにぎり押し付けられてる。
「ポンコツ役者うるさい、黙って食べてくれない?」
「誰がポンコツだって?!」
…ほら、大丈夫だ。
夏組を見てると、ほんと元気でるな。
「こらこら、そんな元気があるなら稽古にぶつけないと。もうすぐ本番でしょ」
「メイメイてきびしー!でも、そーだよね!オレ、一番に稽古場行って練習しちゃうよん!ごちそーさま!終わってから朝食食ぅの楽しみ!ありがとねん!」
「わぁー!かず、まってぇ」
「おい!一成、三角抜け駆けするな!」
「行こ、椋。ポンコツ役者いつまで食べてんの」
「ちっ、お前らまでー!」