第10章 大島桜
絶対空気悪くした、ほんと最悪。
わかってるのに、あの場に居たくないって思ってしまって…
自分の気持ち優先させるとか…。
姉である前に寮母も
「失格…」
この気持ちもちゃんと整理して、明日みんなに謝らないと…。
止まらない涙も、ぐるぐるする思考も、なんだかあの頃に似てるな…。
あの頃はどうやって乗り切ったんだっけ、
乗り切れたんだっけ…?
あの頃の記憶感じたことは、はっきり思い出せるのにどうやって気持ちを切り替えたかは、全然思い出せない。
脳裏に浮かぶ、"独り"になったあの頃から今もまだ多分、抜け出せていない?
ー…ぷるるる
何コールなっても切れる気配がない。
相手は非通知みたいだ。
「はい、もしもし?」
『……ぃか?』
遅れてきた声に、私は頭が真っ白くなって…。
どうしてこう言うの重なるんだろう…。
考えなきゃいけないことってわかってる、
だけど、もう何も考えたく無い。
何も感じたく無い…ー
ーーーーーー
ーーー
…あれ、私…。
眠っていたような、眠っていないような曖昧な感覚。
ずっとぼーっとしていた気もする。
でも、確かに昨日よりは楽で…。
ぎゅうぎゅうと押しつぶされて吐き出して、空っぽになったみたいなそんな感じだ。
カーテンを閉め忘れた窓は、太陽が登り始めてすっかり赤みを帯びたオレンジ色に染まってる。
朝の支度をしないと…。
のそのそっと、ベットから降りて新しい服に腕を通せばなんだか大丈夫な気もして。
"まだ、だいじょーぶ"
何が?
かちゃっとドアを開ける。
廊下は夏なのに、少しひんやりとして冷たい。
顔を洗ったり歯磨きを済ませたり、それが終わったらいつも通りキッチンに向かって、冷蔵庫を確認する。
卵にハム、ウインナー…
にんじん、ピーマン、水菜、やまのいも、三つ葉…
冷凍庫には魚もあったっけ、