第9章 雛菊桜
「お前……こんなの、いつの間に作ってたんだよ。」
「稽古の後にちょっとずつ」
「稽古の後…!?」
「すごいね、幸くん」
そう、すごいんだ。幸くんは!!
「幸くんはだいぶ天才なんだ、神の申し子なんだ。
どうしよう、やばいアリババじゃん。アリババがいるじゃん。
すごい、かっこいい、やばい。」
「あんたどっから湧いたの?」
「だって衣装って聞くからさ、コレはもう見たいじゃん。私の特権みたいなものじゃん。
一枚いい?待ち受けにさせて??」
「SNSに載せないならいいぞ。」
「ひぇええ、ありがとう!」
コレもう綴くんに自慢しよう!はぁ〜、やばすぎ本当解釈の一致!!
「オレ、稽古終わったら速攻寝落ちっす〜」
「ボクも」
「ゆき、えらい」
「別に」
「幸くん、私も手伝うからいつでも言ってね!」
ニヤッと笑った幸くん、え。なんか悪い顔してるけど、いわないほうよかった?
「こき使ってやる。手伝うって言ったのはあんただから。」
「任せて!」
ぽんって私が胸を叩くのと、かずくんが手を叩いたのは同じタイミング。
「あ、そーだ!
オレも公演のキービジュアル作った!」
そう言ってパソコンを開いたかずくん。
「見て、見て!
これ、どうよ!?」
「コレを……お前が?」
「すごい!かっこいい!」
「ゆきの衣装と一緒〜。きらきら〜」
私に見えるように、画面を傾けてくれる。
「はわっ…」
コレは、コレは…っ!
「イイ感じっしょ!?ゆっきーがいっぱい相談に乗ってくれてさ〜
ねぇ、マジでオレらナウでヤバたんなデザインユニット組まない?」
「組まない」
「安定のゆっきー…!」
黙り込んでいた天馬くんが、視線を上げてなんだろう、とってもいい表情をして言う。
「……やるじゃん、お前ら」
一瞬時が止まったかと思った。
「は?当たり前じゃん」
「やたー!テンテンにほめられちったー!」
コレは…
「うっ」
尊い。