第9章 雛菊桜
「…んだよ、こっち見るな」
「ふは…っ、ありがと。守ってくれて。ジュース取ってくるね。」
いやー、可愛いな。
ぽんぽんとオレンジ色の頭を撫で、今度こそクーラーボックスを取りに行く。
少し離れた場所で夏組や支配人、いづみちゃんが楽しく笑っている。
クーラーボックスはやっぱり少し重くて…
…って、何感傷に浸ろうとしてるんだ。私、
「よいしょっと、」
パチパチと天馬くんの足元ではネズミ花火が鳴っている。
「ありがとう、芽李ちゃん。」
みんなのところに戻れば、ちゃんと私のことさえ迎え入れてくれる。
「んーん、これくらいさせてよ。わたし寮母さんだし。」
オールシーズン揃ったら、いつか…
「たのもしいね!ふふ。」
「ねーね、いづみちゃん?」
「ん?」
「24人だっけ、劇団員全員揃ったら。」
「そーだね、まぁ今は20人揃えるのが目標だけど」
「揃ったらさー、今度はみんなで合宿したいね。」
「いーね、それ!」
「何年かかるかなー」
「あっという間だよ、きっと。」
その頃には、咲ともちゃんと向き合えるかな…。
「さ、合宿も今日で終わりだし。ラストスパート!本番までがんばろー!」
「おーっ!」