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3月9日  【A3】

第9章 雛菊桜


 「…んだよ、こっち見るな」
 「ふは…っ、ありがと。守ってくれて。ジュース取ってくるね。」

 いやー、可愛いな。

 ぽんぽんとオレンジ色の頭を撫で、今度こそクーラーボックスを取りに行く。


 少し離れた場所で夏組や支配人、いづみちゃんが楽しく笑っている。

 クーラーボックスはやっぱり少し重くて…

 …って、何感傷に浸ろうとしてるんだ。私、

 「よいしょっと、」

 パチパチと天馬くんの足元ではネズミ花火が鳴っている。

 「ありがとう、芽李ちゃん。」

 みんなのところに戻れば、ちゃんと私のことさえ迎え入れてくれる。

 「んーん、これくらいさせてよ。わたし寮母さんだし。」

 オールシーズン揃ったら、いつか…

 「たのもしいね!ふふ。」
 「ねーね、いづみちゃん?」
 「ん?」
 「24人だっけ、劇団員全員揃ったら。」
 「そーだね、まぁ今は20人揃えるのが目標だけど」
 「揃ったらさー、今度はみんなで合宿したいね。」
 「いーね、それ!」
 「何年かかるかなー」
 「あっという間だよ、きっと。」

 その頃には、咲ともちゃんと向き合えるかな…。

 「さ、合宿も今日で終わりだし。ラストスパート!本番までがんばろー!」
 「おーっ!」




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