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3月9日  【A3】

第9章 雛菊桜


 「芽李さん!こっち終わりましたよ!」

 椋くんが手を拭きながら、にっこりと笑う。

 ご飯の後それぞれの部屋を片付けて、庭に集合することになっている。
 支配人が用意してくれたアクティビティの為だ。

 みんなより一足先に片付け終わったと、キッチンの片付けも手伝ってくれた椋くんは、もう本当にいい子。

 ありがとうございます、椋くんのご両親。
 こんな天使に育つなんて、ご両親のご指導の賜なんだろうか。

 うちの咲の次に、…いや、どっちも負けないくらい天使だ。

 「芽李さん?」

 …は!いけない、いけない。
 心配そうにこちらを覗き込む、椋くん。

 この子の将来が楽しみでしかない。
 絶対いい男になるに違いない。

 「うん?あ!椋くん、ありがとう。お庭いこうか。」
 「はい!」



 ーーーー
 ーーー



 二人でお庭にでると、他の子たちはもう花火の準備をしていて、
チャッカマンで蝋燭に火をつけたのは、カズくんだった。

「いえー!ロケット花火やろ」

 ガサゴソと袋から取り出したそれを、みんなに見せるカズくんに役一名を除いて目をキラキラさせてる。

 幸くんも年相応に嬉しそうだ。

 キョトンとした顔の天馬くんに、声をかけたのはやっぱり椋くん。

 天馬くんと椋くんって、意外といいペアかもしれない。

 いや、椋くん優しいから多分誰とでも上手くいく気がする。

 「なんだ、それ。」
 「天馬くんロケット花火やったことないの?」
 「ドラマの撮影で線香花火はやったことがある」

 そっか…

 二人の会話を聞きながら、子役の天馬くんに想いを馳せる。

 みんなが普通に過ごしている中、お仕事をするってそう言うことだ。
 天馬くんのプライドも意地も、全部その中で培ってきた武器だ。

 うるっときた目元に、クスッといづみちゃんが笑う。

 「芽李ちゃんってば、にやけたり泣きそうになったりすごく百面相」
 「いや、だってさ…夏組が若くて、尊いんだもん。この子達の成長間近で見られるなんて、私前世でどんな徳積んだんだろう?」
 「ふは、徳積んでるのは今世もじゃない?」
 「え?」
 「いまも、劇団のために頑張ってくれてるじゃん。」
 「すぐ泣かせにくるじゃーん、もうみんな天使だぁっ」
 「ふふふ」
 「そこ、何してんの?」
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