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3月9日  【A3】

第9章 雛菊桜


 「早くしないと、寝る時間なくなっちゃいますよ!気をつけて行ってきてくださいね!お土産待ってますから!」

 ズイズイと私を押してくる。

 「わっと、」
 「…至さん、お願いしますね!」
 「もちろん、任せて。って、咲也…」
 「おー、サクヤ行ってしまったネ。」

 反抗期…。

 いや、うちの子に限ってそれは

 「まぁー、でも寝る時間無くなっちゃうのは困るし、行こうか。みんなもお留守番と、咲也のこと頼むね。」
 「はい。」
 「至、お土産はさっきの」
 「もういいから、気をつけて行ってきてください」

 ズズズっと綴くんに首根っこを掴まれた真澄くんに、来年の誕生日プレゼントならいいかと思いながらも、至さんの車に乗る。

 バッタンと、至さんも運転席に乗ってヒョイと私にケータイを寄越す。

 「やっといて」
 「車でゲームは酔うじゃないですか」
 「至さんの運転は、マRカーで培われてるから大船に乗ったつもりで安心してゲームしてくださいまし」

 緑と赤のおじさん兄弟のゲームってなかなかハードな運転じゃないか。

 「あんまりそれ安心できない」
 「グRンツーとかもしてるから、安心して」
 「レースの時点でアウト。教習所のやつにしてよ。」
 「オッケー今度取り寄せとく」
 「至さんならたるちぱわーでできそうでこわい。」
 「で?」

 …で、とは?

 ついでにガチャで魔法石砕いちゃおう、

 「え、なにしてんの?」
 「ガチャ」
 「咲也にやってもらおうと思ってたのに」

 …ドブだった。

 「ジト目で見ないでくださいよ、…すみません。」
 「許さない」
 「えー…」
 「というか、話逸らすのやめてもらっていい?咲也、どーしたのって。」
 「…わかりません」
 「だから、ジト目やめてくださいってば!」

 本当に心当たりないんだから。

 「咲也のことと、ガチャ運に関しては、芽李のこと信用してないから。」

 しれっと言ってのけた至さんだけど、私そんなに粗相見せてないはずだ。
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