第9章 雛菊桜
「早くしないと、寝る時間なくなっちゃいますよ!気をつけて行ってきてくださいね!お土産待ってますから!」
ズイズイと私を押してくる。
「わっと、」
「…至さん、お願いしますね!」
「もちろん、任せて。って、咲也…」
「おー、サクヤ行ってしまったネ。」
反抗期…。
いや、うちの子に限ってそれは
「まぁー、でも寝る時間無くなっちゃうのは困るし、行こうか。みんなもお留守番と、咲也のこと頼むね。」
「はい。」
「至、お土産はさっきの」
「もういいから、気をつけて行ってきてください」
ズズズっと綴くんに首根っこを掴まれた真澄くんに、来年の誕生日プレゼントならいいかと思いながらも、至さんの車に乗る。
バッタンと、至さんも運転席に乗ってヒョイと私にケータイを寄越す。
「やっといて」
「車でゲームは酔うじゃないですか」
「至さんの運転は、マRカーで培われてるから大船に乗ったつもりで安心してゲームしてくださいまし」
緑と赤のおじさん兄弟のゲームってなかなかハードな運転じゃないか。
「あんまりそれ安心できない」
「グRンツーとかもしてるから、安心して」
「レースの時点でアウト。教習所のやつにしてよ。」
「オッケー今度取り寄せとく」
「至さんならたるちぱわーでできそうでこわい。」
「で?」
…で、とは?
ついでにガチャで魔法石砕いちゃおう、
「え、なにしてんの?」
「ガチャ」
「咲也にやってもらおうと思ってたのに」
…ドブだった。
「ジト目で見ないでくださいよ、…すみません。」
「許さない」
「えー…」
「というか、話逸らすのやめてもらっていい?咲也、どーしたのって。」
「…わかりません」
「だから、ジト目やめてくださいってば!」
本当に心当たりないんだから。
「咲也のことと、ガチャ運に関しては、芽李のこと信用してないから。」
しれっと言ってのけた至さんだけど、私そんなに粗相見せてないはずだ。