第8章 椿寒桜
「オレの車のどこが恥ずかしいんだ!」
「所有者」
それ皇くんに対して、あんまりだ…。
ポンっと、皇くんの高い肩に手を乗せて哀れめばペシっと皇くんに、手を振り払われた。
え、私かわいそすぎん?
「所有者って……オレか!オレのどこが恥ずかしいんだ!?」
「ま、まあまあ、余計に目立っちゃうよ」
「ふん。井川、もう帰っていいぞ。ここからは歩いてく。」
「ジャーマネの送迎とか、さすがテンテン」
ナイスフォロー椋くんと、かずくん。
ところで私へのフォローはいつ?
「ところでさ、そろそろ1週間くらいかな?」
「なにが?」
「ん?うちの看板作家、大天才、皆木先生の新作!だよ!!」
「看板ってそんなに書いてなくない?」
「これからいっぱい描くんだもん、綴くんの作品はさ、もう絶対何かの賞を取らせざるおえないことになってくると思うんだよね!」
「なんてなんて?」
「私、あんまり好きな作家さんとか居ないし、わからないんだけど、綴くんの書く話、ロミジュリで即大好きになった!とくにね、まぁ、演出上やむおえなくて、なしになっちゃったセリフもあったんだけど28ページの6行目のマキューシオとティボルトの、」
「その話長い?」
「うん」
「じゃあ、寮に行ったら聞くから少し黙れる?あいつら先行っちゃったし。」
ほんとだ、椋くんは聞いてくれると思ったのに…と思ったら、皇くんとかずくんに連行されてる。
残ってくれた幸くん意外すぎ。
でも優しくて好き。
「うい」
「それとさ、それ村人C本人に言ったら?」
「あ、うん。タイミング見つけて割といつも言ってる」
「えー…」
「あからさまにひかないでよぉ」
なんてやりとりをしながら寮に帰ると、カレーの匂い。
「あちゃー」
「アンタ寮母じゃなかった?」
「うん、でも帰るの遅い時とかはいづみちゃん作ってくれる」
「なんのための買い物だったわけ?」
「面目ない…」
カレー、美味しいけどね!
「出たな、カレー星人…」
「カントクさんのカレー、おいしいよね」
「今日のカレーはね、スパイスをー」
「長くなるからいい」
皇くんがあしらった後、ギュンッとこっちをみた幸くんがさっきのアンタもこんな感じだったと見てくる。
一緒に生活すると似てくるもんだよね。
「うぅ〜」