第8章 椿寒桜
ぎこちない笑顔だった。
どうしたんだろう、急に…。
「いこいこー!今日のご飯なになに?」
「今日は、監督のカレーです!」
「ウケるー、この間も食べたー」
確かにトマトとナスのカレーも最近だった。
「これでも頻度少ない方なんですよ、芽李さんが、つくってくださるので、それに監督のカレーも美味しいです!」
「うん。いづみちゃんのカレーは世界で一番、お陰で他で食べられなくなっちゃったもん。」
そう、多いけどおいしいんだよね、いづみちゃん印のカレーは。
「確かにー!あ!そういえばこのメンツで写真撮ったことなくない?とろとろー!はいチーズ、あ!メイメイ目瞑ったから、もういっかいー!いいね!1000えぇな確実じゃね?!」
「私裏方だから、写真のせるのやめてね?」
「はいはーい」
まったく、本当にわかってるのかなぁ。
「ところで2人とも何かオレに用だった感じ?」
「ご飯できるから声がけのために探してたの」
「そかそか、ありがとー!でも、ライムくれればすぐ行ったのに〜!」
…たしかに。かずくん、携帯が手元にないことがないもんな。
「無駄足だったか」
「わお、メイメイしんらつー!やばたんっ!でも2人ともありがとう」
「はいはい。」
「いいえ!オレも芽李さんと、歩いて探すの楽しかったのでよかったです!」
…うちの子天使かな?
ポワポワってお花が飛んでるよ。平和か!?
「あ、来た。」
ガチャっと談話室のドアを引いて一声目は、至さん。
「おおーい、芽李さんや?フリーズしてるが大丈夫?」
フリフリと私の眼の前で手を振る至さん。
「サクサクが、メイメイと寮探索するの楽しかったーって言ったらこうなった。ウケる、写真とろー」
「把握。一成、撮ったら俺にも共有して、帰ってこーい、芽李」
「写真撮ったらその携帯ぶち壊すからね?」
「ぉお、こわ。いたるん、代わりに撮っておいてー。」
「むり、壊されたくない」
そんな茶番をしていると、パンパンと手の叩く音。
「はいはい、三人ともそこまでね。できたから座って?」
いづみちゃんに促される。
先に出て行った支配人も、他のみんなももう席についていた。
「いただきます」
みんなの声が響いた。