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3月9日  【A3】

第8章 椿寒桜


 ぎこちない笑顔だった。

 どうしたんだろう、急に…。

 「いこいこー!今日のご飯なになに?」
 「今日は、監督のカレーです!」
 「ウケるー、この間も食べたー」

 確かにトマトとナスのカレーも最近だった。

 「これでも頻度少ない方なんですよ、芽李さんが、つくってくださるので、それに監督のカレーも美味しいです!」
 「うん。いづみちゃんのカレーは世界で一番、お陰で他で食べられなくなっちゃったもん。」

 そう、多いけどおいしいんだよね、いづみちゃん印のカレーは。

 「確かにー!あ!そういえばこのメンツで写真撮ったことなくない?とろとろー!はいチーズ、あ!メイメイ目瞑ったから、もういっかいー!いいね!1000えぇな確実じゃね?!」
 「私裏方だから、写真のせるのやめてね?」
 「はいはーい」

 まったく、本当にわかってるのかなぁ。

 「ところで2人とも何かオレに用だった感じ?」
 「ご飯できるから声がけのために探してたの」
 「そかそか、ありがとー!でも、ライムくれればすぐ行ったのに〜!」

 …たしかに。かずくん、携帯が手元にないことがないもんな。

 「無駄足だったか」
 「わお、メイメイしんらつー!やばたんっ!でも2人ともありがとう」
 「はいはい。」
 「いいえ!オレも芽李さんと、歩いて探すの楽しかったのでよかったです!」

 …うちの子天使かな?
 ポワポワってお花が飛んでるよ。平和か!?

 「あ、来た。」

 ガチャっと談話室のドアを引いて一声目は、至さん。

 「おおーい、芽李さんや?フリーズしてるが大丈夫?」

 フリフリと私の眼の前で手を振る至さん。

 「サクサクが、メイメイと寮探索するの楽しかったーって言ったらこうなった。ウケる、写真とろー」
 「把握。一成、撮ったら俺にも共有して、帰ってこーい、芽李」
 「写真撮ったらその携帯ぶち壊すからね?」
 「ぉお、こわ。いたるん、代わりに撮っておいてー。」
 「むり、壊されたくない」

 そんな茶番をしていると、パンパンと手の叩く音。

 「はいはい、三人ともそこまでね。できたから座って?」

 いづみちゃんに促される。
 先に出て行った支配人も、他のみんなももう席についていた。

 「いただきます」

 みんなの声が響いた。
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