第8章 椿寒桜
「支配人と一緒って、なんだか珍しいよね」
「そうですね、亀吉のこととか?」
「あ、そっか。仲良いもんね、…支配人どこにいるんだろ」
「倉庫じゃないですか?」
確かに、手が空くとすぐ倉庫にいくもんな…
「行ってみよっか」
「はい。」
ーーーーー
ーーー
倉庫から何やら声が聞こえる。
「ビンゴみたいだね。」
「ですね!」
トントンと一応ノックしてから、中に入る。
「あれ?サクサクと、メイメイじゃん!どったのー?」
「2人のこと探してたの、ところで何してたの?」
「んー?今回もすけっちが写真撮るっていうから、直談判してたとこ。春組のフライヤー作る時ひどかったんだよねん、写真ぶれぶれで。」
「そんなにひどかったですかねぇ」
「支配人、不器用ですもんね。」
「そんなぁ、芽李さんまでぇ」
「で、写真お願いする人は決まったの?」
「いいぇ、そんな知り合いいないですし…」
その言葉を聞いて、浮かんだのはカーネーションを買ってくれた彼のことだ。
そういえば、名刺もらったはず…
それに、電話番号も書いてあったはずだ。
「メイメイ?」
ペタペタとポッケを探すと、ズボンの後ろポケットに入れてたことを思い出して、取り出す。
「今日、職場に取材をしに来た方がいて。凄く優しくて良い方だったので、依頼すれば受けてくれるかもしれません。」
名刺を差し出せば、ふむふむとそれを受け取って見だす支配人。
「さっそく電話して見ます!ありがとうございます!」
どさどさとぶつかりながら、名刺を持って走って行った支配人。
「ははは、気をつけてくださいねー…」
「名刺の人、フシミ シンさん?」
「伏見おみさんって方。職場の店長の昔馴染みで、例えるならテディベアみたいな感じ」
「へぇ、…メイメイの彼氏?」
「は?!え?!違うよ?!彼、大学生ですしね?!」
「年下彼氏?!」
「だから違うって!本当に、今日たまたま知り合ったから、すすめただけで、特に意味はありません…佐久間くん?」
かずくんと話していたら、咲が一瞬険しい顔で俯いたのが見えて、顔を覗く。
「…なんでもないですよ!お腹すきました!早く談話室行きましょう!一成さんも!」
ニッコリと笑って私の手を取る咲。