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3月9日  【A3】

第8章 椿寒桜


 「支配人と一緒って、なんだか珍しいよね」
 「そうですね、亀吉のこととか?」
 「あ、そっか。仲良いもんね、…支配人どこにいるんだろ」
 「倉庫じゃないですか?」

 確かに、手が空くとすぐ倉庫にいくもんな…

 「行ってみよっか」
 「はい。」



ーーーーー
ーーー



 倉庫から何やら声が聞こえる。

 「ビンゴみたいだね。」
 「ですね!」

 トントンと一応ノックしてから、中に入る。

 「あれ?サクサクと、メイメイじゃん!どったのー?」
 「2人のこと探してたの、ところで何してたの?」
 「んー?今回もすけっちが写真撮るっていうから、直談判してたとこ。春組のフライヤー作る時ひどかったんだよねん、写真ぶれぶれで。」
 「そんなにひどかったですかねぇ」
 「支配人、不器用ですもんね。」
 「そんなぁ、芽李さんまでぇ」
 「で、写真お願いする人は決まったの?」
 「いいぇ、そんな知り合いいないですし…」

 その言葉を聞いて、浮かんだのはカーネーションを買ってくれた彼のことだ。

 そういえば、名刺もらったはず…

 それに、電話番号も書いてあったはずだ。

 「メイメイ?」

 ペタペタとポッケを探すと、ズボンの後ろポケットに入れてたことを思い出して、取り出す。

 「今日、職場に取材をしに来た方がいて。凄く優しくて良い方だったので、依頼すれば受けてくれるかもしれません。」

 名刺を差し出せば、ふむふむとそれを受け取って見だす支配人。

 「さっそく電話して見ます!ありがとうございます!」

 どさどさとぶつかりながら、名刺を持って走って行った支配人。

 「ははは、気をつけてくださいねー…」
 「名刺の人、フシミ シンさん?」
 「伏見おみさんって方。職場の店長の昔馴染みで、例えるならテディベアみたいな感じ」
 「へぇ、…メイメイの彼氏?」
 「は?!え?!違うよ?!彼、大学生ですしね?!」
 「年下彼氏?!」
 「だから違うって!本当に、今日たまたま知り合ったから、すすめただけで、特に意味はありません…佐久間くん?」

 かずくんと話していたら、咲が一瞬険しい顔で俯いたのが見えて、顔を覗く。

 「…なんでもないですよ!お腹すきました!早く談話室行きましょう!一成さんも!」

 ニッコリと笑って私の手を取る咲。

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