第8章 椿寒桜
「え?取材?」
「そうそう。地報に載せるって言ってねぇ。10時くらいになったら来るみたいなのよ」
作業をしながら答える。
「急ですね」
おばあちゃんは椅子に座って、昔を懐かしむように目を細めた。
「取材してくれるの、古くから知ってる子なのよ。」
「なるほど。どんな方なんですか?」
「おみちゃんっていってねぇ、すごく優しい子なのよ。笑顔がかわいくってねぇ、小さい頃からお料理も頑張っててえらいのよー。手先が器用でねぇ。たまに手芸をおしえてあげるのよ。」
女子力高いな。…見習わないと。
可愛くてふわふわっとした子なんだろうな、ロングヘアの軽くパーマがかかってて、いつもワンピース着てるような…
…って、女の子とは言ってないか。
「女の子ですか?」
「男の子よ」
「男の子!?」
………じゃあ、あれだ。
椋くんとか月岡さんみたいなかんじで、優しいふんわりした子だ。
ほわほわっと笑いかけてくれるみたいな感じだ。
「そうなのよ、でも、きっと芽李ちゃんも、気にいるとおもうわ。」
「楽しみですっ」
ーーーーー
ーー
…と、その時までは思っていた。
「すみません、10時に取材お願いしていた伏見といいます。」
丁寧にアイロンをかけてある紺色のシャツを着て、赤いベスト?を着てる。
「少々お待ちください」
カメラを持っていたから、あの人はカメラマンさんってことか。
「おばあちゃん、伏見さんって方がお見えになってます」
「あらまぁ、…まぁ、…上がってもらってくれる?」
「わかりました。
…伏見さん、中へどうぞ。」
「ありがとうございます」
ペコリと軽く会釈をしてくれた伏見さんを中に招くと、目尻を下げて優しく笑った。
なんていうか、テディベアみたいな人だな。
…っていうか、おみさんは今日はいらっしゃらないのかな?
都合悪くなったとか?
まぁ、私が気にすることではないんだろうけど。
「こちらです」
「どうも。…お久しぶりです!元気そうでよかった」
「あらまぁ、大きくなって。りっぱになっちゃて、あぁ芽李ちゃんも座って。」
「あ、はい。」
「おみちゃん、この子芽李ちゃんっていってね、少し前から手伝ってくれてるのよ、とってもいい子でねぇ」
「えっ」