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3月9日  【A3】

第8章 椿寒桜


 「え?取材?」
 「そうそう。地報に載せるって言ってねぇ。10時くらいになったら来るみたいなのよ」

 作業をしながら答える。

 「急ですね」

 おばあちゃんは椅子に座って、昔を懐かしむように目を細めた。

 「取材してくれるの、古くから知ってる子なのよ。」
 「なるほど。どんな方なんですか?」
 「おみちゃんっていってねぇ、すごく優しい子なのよ。笑顔がかわいくってねぇ、小さい頃からお料理も頑張っててえらいのよー。手先が器用でねぇ。たまに手芸をおしえてあげるのよ。」

 女子力高いな。…見習わないと。
 可愛くてふわふわっとした子なんだろうな、ロングヘアの軽くパーマがかかってて、いつもワンピース着てるような…
 …って、女の子とは言ってないか。

 「女の子ですか?」
 「男の子よ」
 「男の子!?」

 ………じゃあ、あれだ。
 椋くんとか月岡さんみたいなかんじで、優しいふんわりした子だ。
 ほわほわっと笑いかけてくれるみたいな感じだ。

 「そうなのよ、でも、きっと芽李ちゃんも、気にいるとおもうわ。」
 「楽しみですっ」

 ーーーーー
 ーー

 …と、その時までは思っていた。

 「すみません、10時に取材お願いしていた伏見といいます。」

 丁寧にアイロンをかけてある紺色のシャツを着て、赤いベスト?を着てる。

 「少々お待ちください」

 カメラを持っていたから、あの人はカメラマンさんってことか。

 「おばあちゃん、伏見さんって方がお見えになってます」
 「あらまぁ、…まぁ、…上がってもらってくれる?」
 「わかりました。

 …伏見さん、中へどうぞ。」
 「ありがとうございます」

 ペコリと軽く会釈をしてくれた伏見さんを中に招くと、目尻を下げて優しく笑った。
 なんていうか、テディベアみたいな人だな。

 …っていうか、おみさんは今日はいらっしゃらないのかな?
 都合悪くなったとか?

 まぁ、私が気にすることではないんだろうけど。

 「こちらです」
 「どうも。…お久しぶりです!元気そうでよかった」
 「あらまぁ、大きくなって。りっぱになっちゃて、あぁ芽李ちゃんも座って。」
 「あ、はい。」
 「おみちゃん、この子芽李ちゃんっていってね、少し前から手伝ってくれてるのよ、とってもいい子でねぇ」

 「えっ」
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