第8章 椿寒桜
あの後幸くんと椋くんのエチュードに、文句を言ったくんも、素直になれれば、みんなと打ち解けられるんじゃないかと思うのは、余計なお世話か…。
「酒井さん!運びましたよ!」
…夏組の方もだけど、最近様子のおかしい咲もどうにかしなきゃいけないんだった。
私としては願ったりかなったりでうれしいんだけどね?
「ありがとう、佐久間くん。」
「いえ!」
若干私に対して、監督に対する真澄くん状態になってる弟、咲の様子がおかしいのは、至さんの部屋で寝落ちしてからだけど…
三角くんの一件で輪をかけたみたいだ。
キッチンに立っているとすぐ手伝ってくれるし、洗濯物干す時も畳む時時も私が寮にいる間は、片時も離れようとせず、ご飯を食べる時もくつろぐときも気づくと咲がいる。
外出すると言うと、事細かにどこに行って何時に帰って来るか聞いて来る。
他の団員と話しているとたまに捨て犬のような目でこちらをみるのだから、最近少し良心が痛む。
手伝いに関しては元から積極的にしてくれていたいけど、何かあるなら言ってくれたらいいのに…
って、こないだビビって最後まで話を聞いてあげられなかった私が言うかって話なんだけど。
そんな咲をみて、幸くんが言った。
「サイコストーカーよりましだから、ソフトサイコストーカーだね」
…幸くん、それってサイコとソフトの間で、ただのストーカーでいいんじゃないかなと突っ込もうとした時にはもう次の話題に写ってた。
…って、ストーカーではないし、可愛いし。
そんな咲に話しかけた綴君。
「咲也、お前最近おかしくないか?」
「オレ、おかしいですか?」
咲ちゃんよ、そんなきゃるんな目で見つめられたらさ、可愛いしかいえないのよ。
うちの弟が優勝、弟しか勝たん。
全力で白旗ふっちゃう。
ぶん回しちゃう。
…ところで、勝たんってまだ流行ってる?
「んー……?」
「…嫌ですか?」
「全然イヤじゃないです。ウェルカムです。カムカムです。」
「よかったです」
あー、笑顔がBloomingしてるー。
可愛い。
…って!
やばい、咲の安定の可愛さに開花しかけてしまった。
「まぁ、芽李さんがいいならいいですけど。
でも咲也、そろそろ学校行く時間だろ?」