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3月9日  【A3】

第8章 椿寒桜


 「幸くんが舞台立ったらかっこいいんだろうな」
 「…まぁ、作ってる時も、実際舞台に立って動いたらどうなるかって、想像しにくいとこあるし。」
 「衣装係兼役者ってことでいいんじゃね。勉強になるよ。」
 「綴くんも脚本家兼役者さんだもんね」
 「んー、じゃあ、やってみようかな。」
 「やったー!よろしくね!」
 「よろしくね、幸くん!」

 みんな思い思いに喜んで、カズくんが幸くんにナンパしたりして…

 「あ、あのー…」

 わちゃわちゃしてたから、ピンクの可愛い天使みたいな男の子に気づかなかった…なんかごめんね。

 「ロミジュリの衣装もゆっきーが作ったんでしょ?
 あれマジやばたん!
 オーソドックスなのにアレンジきいてて、ちょーかっこいい!」

 終始ハイテンションのカズくんに引いてる幸くん。
 
 「あの!!」
 「!?」
 「…何?」
 「こら。真澄君、今の言い方怖い」
 「ふん。」
 「す、すみません!何度か声をかけたんですけど」
 「…………あれ?」

 いづみちゃんが近づいていく。

 「気づかなくてごめんね。何か用かな?」
 「あの、オーディション会場ってここですか?」

 夏組のオーディションに来てくれた天使くんは、向坂君と言うらしく、幸くんの同級生だったみたいだ。
 …すごいな、幸くんの学校天使しかいないのかな。

 「あの子、俺の小さい時に似てる」

 コソッと言ってきた至さんにジト目を向けた私を許してほしい。

 「え?向坂くんが至さんみたいになるの?」
 「どう言う意味?」
 「すなわち…至さんは堕天使ってことか。」
 「こらこら。」

 携帯を片手に茶番をしてるとグラサンをしたイカした男の子が入ってくる。

 「おい、オーディション会場ってここか?

 やっぱボロいな、この劇場…」

 なんかギラギラしてる。

 「失礼な子だな…、若手のアイドルか」

 おっと、睨まれた。

 「いや、お前もだいぶ若手のアイドルに失礼だから。」

 いづみちゃんがその子の元に行って話しかけてる。

 「キミもオーディション参加希望?」
 「そうだけど、アンタは?」
 「監督兼主宰の立花です。よろしくね。」
 「ふぅん、ずいぶん若いんだな。」
 「じゃあ、ここに並んでくれるかな。名前は?」
 「皇天馬」

 すめらぎてんまか…。

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