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3月9日  【A3】

第8章 椿寒桜


 「いづみちゃん、受付準備終わりました。」
 「ありがとう、芽李ちゃん!助かったぁ」

 今日は、いよいよ夏組のオーディションの日。

 「オーディション、人来てくれますかね……。」

 不安そうな支配人に前回の事を思い出す。
 
 「前回はどうだったんでしたっけ?」

 同じように尋ねたいづみちゃんに、隣でピョコっと動きながら伝える咲。

 「オレ1人でした。」
 「マンツーマンでしたね」
 「何も聞かれずに即、採用って言われました」
 「適当すぎる……!」

 そんな会話をしてるうちに、元気な声が聞こえてくる。

 「こんちわー!」
 「どーも。」
 「あ、いらっしゃい!2人とも、来てくれたんだね!」
 「一成くん、幸くん!?」
 「もしかして、スカウト枠って2人のことですか?」
 「そうだよ。2人とも見込みがありそうでしょ」

 新生夏組に、幸くんとカズくんかぁ…。
 美的センスばつぐんじゃんか。

 「まだ、やるとは決めてないから」
 「そうなの?」
 「一応今日、話を聞いてから決めるつもり。」

 さすが幸くん。
 しっかり考えてるんだなぁ…。

 「オレはオッケーっすよ。面白そーだし。つづるんよろー。」

 ひらひらっと手を振って、次の瞬間にはシトロンくんと写真を撮ってるカズくん。

 「そんなんでいいんすか!?」
 「いいの、いいの。どーせ、ヒマだし、友達増えそうだしさ。」
 「軽い………!」

 嫌そう、…と言うか呆れ顔の綴くん。

 「でも、夏組にピッタリそうな2人だよね」
 「それってどういうこと?」
 「カズくんは真夏のビーチ似合いそうだし。
 幸くんの目、夕陽みたいにキラキラして綺麗だし。」

 幸くんに聞かれたから思うまま言ったら変な顔されるし。

 「…」
 「やべぇ、褒められたった!」
 「いや、あんたに関しては褒められたかどうか微妙だけどな」

 カズくんに対して相変わらずの綴くん。

 「…はぁ。ほんと芽李さんってそういうとこあるよね。」
 「まぁでもさ、幸くんも試しにやってみない?」
 「んー、でも、別に役者に興味があるかっていうと、そうでもないし」
 「幸くんの作る衣装は、やっぱり幸くんが1番似合うと思う。
 舞台に立ったら、きっと映えるよ。」
 「あー、たしかに、そこは気になるんだよね。」
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