第7章 豆桜
そして四幕…ー
ロレンス神父の勧めで、仮死状態になる薬を調達しに行くジュリアス。
旅にだだジュリアスが、やっとのことで手に入れたそれ。
…ロミオの死刑執行日。
「死ね、ロミオーー!」
切り掛かるジュリアス。
「ジュリアス!?
どうして、僕を!?」
「ティボルトの仇だーー!」
2人の気迫が伝わってくる。
本気でロミオに掴みかかるジュリアスと、戸惑うロミオ。
本で読んだシーンがそのまま、ここにある。
助けようとしてたのに、変貌したジュリアス…。
何度も読んだそのシーンで結末もわかってるのにハラハラする。
ジュリアスがうまくリードしてる。
あっ、ロミオが…っ、
ロミオの後を追うように服毒して、眠るように亡くなったジュリアス。
ギュッて心臓が鳴るのがわかる。
ラストシーン…棺から蘇ってくる2人に胸を撫で下ろす。
「そもそも僕は肉体労働派じゃないんだ。
山登りなんて、もう金輪際ごめんだからな」
「ごめんごめん、次は僕がジュリアスのために仮死薬の材料を取りに行くよ」
「あんなことがそうそう何回もあってたまるか。」
朝日を背にした旅立ちで終幕…ー
こんなに沢山の拍手、みんなの演技にこれだけの人が心を動かされたってことだ。
カーテンコールでみんなが出てくる。
みんなのありがとうが響く。
もう一度はけて、劇場内には退場のアナウンスが流れる。
「ほら、さっさと動け。」
幸くんに肘でつかれて、やっとのことで動き出した私。
「ハンカチ、洗って返すね」
「はいはい、ほら裏行くんでしょ?」
幸くんのが年下なのに情けない。
「…っ」
「全く、いつまで泣いてんのさ。明かりの下に出ると、余計目立つんですけど。」
瞼が少し重い。
「あ、いた!芽李ちゃんっ」
「いづみちゃ、」
「幸くんも来てくれてありがとう、衣装やっぱりすごく良かったよ。」
「当たり前。それよりコレどうにかしてよ、オレの隣で幕開いて、元気100パーセントが出てきてからずっとコレだよ。」
「芽李ちゃん、みんなが心配しちゃうよ」
ぽんぽんと背中を叩いたいづみちゃんの背後から、声が聞こえる。
「監督、」
並んで歩いてきた主演の2人に、ぎゅーっと抱きつく。
「!?」