• テキストサイズ

3月9日  【A3】

第7章 豆桜


 「えー…」

 駄々っ子になる2人にどうしたもんかと思っていると、ドアが開いた。
 救世主はやっぱり、いづみちゃんと咲。

 「おはようございます!何の話ですか?」

 朝からポワポワと花を飛ばす咲。
 朝からうちの弟が1番可愛い。

 「サクヤとカントクに聞いてほしいネ。ツヅルばっかりずるいんだヨ」
 「髪セットしてって頼んだらすごく拒否られて、至さん今日ティボルトなれないかもしれない」
 「えぇ!?それは大変です!」

 あわあわし出す咲に、2人のわがままをどうしたもんかといづみちゃんを見れば、ポンっと手を叩くのが目に入る。

 「いいんじゃないかな、今日会場整理もお願いしてたけど…支配人もいるし、雄三さんたちも手伝いに来てくれるって言ってたし、芽李ちゃん、控室おねがいできるかな?」

 ニコニコとした中に、この場を収めようと圧力をかけてくる。
 滲み出てる、この2人めんどくさいからあとはよろしくって顔に書いてある。絶対。

 「演出してる監督さんが言うんだから、折れてよ、芽李」

 ソファに座ってるのをいいことに、顔を武器に上目遣いで見てくるインチキエリートとインチキ外国人。

 「…差し入れに豚足と魚卵入れてやる」
 「そんな説法ナ…」
 「殺生とみた。って言うのはさておき、いいじゃん俺たちの志気があがれば、芽李とお客さんになおさらいい舞台見せられる気がするんだけど。ねぇ、咲也」

 至さんの視線の先に咲のぱあっとした表情が目に入る。

 「オレも、酒井さんにセットしてもらいたいです!」
 「任せて」

 「チョロ」

 っと一言、余計なことを言ってくる至さん。
 否めないけど、差し入れのおにぎり具材はすじこと、いくらと、たらこと、数の子にしてやろうと企む。
 子持ち昆布もいれてやろ。魚卵もりだくさんにしてやろ。

 ゲシゲシと、完成された至さんの頭を嫌がらせ程度にボサボサにしてやる。

 「明日からはジブンでスルヨ。今日だけワタシたちの背中押して欲しいネ。初舞台緊張スルヨ、だめネ?」

 そんなことをしていると、情に訴えてくるシトロンさん。
 …彼にも、やっぱり勝てない。

 「私でよければ、でも絶対監督と綴くんに最終チェックして貰うからね。」
 「お手柔らかに」
/ 555ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp