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3月9日  【A3】

第7章 豆桜


 「いーづみーちゃーん、」
 「芽李ちゃん、心配かけてごめんね。」
 「お互い様。保冷剤、使うかなって思って。あとね、あっちは男の子同士お話ししてるから、こっちは女子会どうかなって。
 私のとっておき持ってきたの。」
 「ありがと、」

 あえて何も聞かずに大したことない話をしながら、飲み物を注ぐ。

 「芽李ちゃん、真澄くんと昨日話してくれた?」
 「え?あ、まぁ少しだけ。今みたいに飲み物注いで、膝掛け貸しただけだよ。」
 「そっか。…」
 「…ふむ。なんと、いづみちゃん。ここにあるこの飲み物にご注目!」
 「へ?」
 「私が魔法をかけると、なんでも悩み事が解決してしまう不思議な飲み物に変わってしまいます。」

 カップに入れた飲み物は、珍しくて買ってしまったバタフライピーというお茶。

 「なんか、青いね」
 「バタフライピーって言う名前なんだって。まぁ、みてて」
 「うん」

 カップの中にレモンを浮かべる。

 「え…っ、変わった?!」
 「えへへ。すごかろう、飲んでみて」
 「んっ………普通にレモンティー」
 「それはどうかな」

 ドアのノックする音が聞こえて、ナイスタイミングと心の中で叫ぶ。

 「はい?」
 「俺」
 「じゃあ、私先下降りてるね」

 真澄くんと入れ替わりで、ドアから出ると咲も後ろにいて。

 「よろしくね、佐久間くん」
 「はいっ」

 頼もしい表情をしていたから、ここは任せようとその場を離れる。
 三人が降りてくる頃には絶対解決してるはずだから、スープを温め直そう。

 「芽李さん。」
 「芽李、どうだった?」
 「咲もいたから、多分大丈夫」
 「そう、」
 「うん。夕飯の用意終わらせちゃお、運ぶの手伝って」

 シトロンくんと綴くんは、もちろんと運ぶのを手伝ってくれたけど、俺はいま世界を救ってるからムリといった至さん。

 至さんはデザート抜き。

 働かざるもの食うべからずってね。

 三人で談話室に来たけど、いいのか悪いのか真澄くんはきまづくなる前よりいづみちゃんにベッタリになっていた。


 「咲也に任せて正解だね。」
 「咲も、なんか嬉しそう」

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