第7章 豆桜
あの後、ろくに朝練もしないで学校に行くと逃げるように行ってしまった真澄くんを追った咲。
「こまったね、どうしようか。」
「どうしたも何も、本人達にしか解決は出来ないからね。まぁ、でも帰ってきたら戻ってたりするんじゃない?俺たちは、見守る方向で」
「そんな悠長な…」
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至さんの言う通り、夕方になったら気も変わってると言うのにかけようとしていた自分を殴りたい。
相変わらずいづみちゃんを避けてる真澄くん。
「綴くん、至さん殴ってきていい?」
「至さん何もしてませんけどね。ただの八つ当たりだし、可哀想だからやめてあげてください。」
「じゃあ、どうする?あれ」
キッチンでこっそり会議をしながらきまづい2人を見守る。
「俺に策があるんで、のってくれます?」
「さすが兄ちゃん!頼りになる」
「どさくさに紛れて、兄呼ばわり」
「いいじゃん、減るものじゃないし。で、策とは?」
作戦はこうだ。
卵が切れたって言う設定で2人に買い物に行ってもらい、仲直りしてもらうというものだ。
「でも、卵いっぱいあるよ」
「う…」
「今日オムライスにする?あ、味付け卵も作って、明日のお昼ラーメンにしよっか。」
「いいっすね。じゃあ、その方向で。」
と、さすが役者さんとばりに2人を説得しに行った綴君に全てを任せ、私はオムライスを作る作業にうつる。
ついでに卵スープも作ろ。
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夕飯ができたころ、ようやく買い物から帰ってきた2人の関係は余計悪化したように思う。
「おにぃちゃん、話が違う」
「俺のせいではない。」
ゴーサインを出すと、やれやれと言う感じで2人の方に行った綴くん。
デザートにプリンもつけてあげるからね。
「うーん、ちょっと色々あってね。」
「真澄くん、大丈夫?」
「……」
「行く前よりひどくなってんな。」
昨日みたく、ダンゴムシ状態にならなきゃいいけど………
「あれ、監督さん、ほっぺたちょっと赤くなってない?」
至さんの指摘通り少し赤くなったいづみちゃんのほっぺ。
そんな2人を見て事情を聞こうとする綴くんに、席を外すと言ったいづみちゃん。
少し丸くなった背中と作り終えた夕飯を見て、いづみちゃんについて行くことに決める。