• テキストサイズ

3月9日  【A3】

第7章 豆桜


 「はい、召し上がれ。あまりものでごめんね?」
 「ありがとう」

 真澄くんに作ってあげたのと同じホットミルクと、ひとつだけ余っていた差し入れのスコーン。

 三角くんの正面に座って、彼のいただきますを見守る。

 「ふわぁっ、」

 パクパクと口に運ばれてくスコーンを見ているうちに眠くなってくる。

 「めい、眠いの〜」

 うとうとしている私に気づいて声をかけてくる三角くんに大丈夫と返しながらも、だんだんと落ちてくる瞼にかてなかった。

 「…おやすみ、めい」

 ポンポンと頭に何か触る感覚を最後に、微睡に落ちた。

ーーーーーー
ーーー

 「ん…」

 翌朝、はっと目を覚ますと見慣れない天井にここはどこだと辺りを見回す。

 「談話室?」

 昨日は確か、真澄くんと話して…三角くんがいて、って、三角くん?!

 また、ババッと辺りを見回す。

 そこで三角形が散りばめられたブランケットが、かけられていることに気づく。

 「寝ちゃったんだ、」

 しかも、ソファに運んでくれたんだな。

 「アンタ、ここで何してんの?」

 その声にソファから転げ落ちる。
 心臓がまろび出るところだった。

 「びっくりした」
 「びっくりしたのは俺の方。」

 昨日に比べて少し復活した様子の真澄くん。

 隠すように素早くブランケットを畳んで後ろ手に持つ。

 「何それ。」
 「え?…いや、なんでも?あはは…」
 「まぁいいけど。…ねぇ」
 「ん」
 「ぐっすり寝れた、アンタのおかげ」

 思わずポカーンとしてしまったのは、許してほしい。

 「それだけ。早く準備しないと朝練遅れる」

 照れたようにそう言って談話室を出た彼。
 そう、意外と可愛いとこあるんだよな…

 三角くんのコレは次に会えた時に返そうと思い、一度部屋に戻る。

 ソファで寝たせいか少し体が痛いけど、テーブルについた椅子で寝るよりだいぶよかった。
 ほんと、三角くんに感謝だな………っと。

ーーーーーー
ーーー

 「おはようございます」

 ドリンクも作り終えて、稽古場につけばもうみんな揃っていて。

 「え?」

 だけど、いつもとは違っていづみちゃんを避け続ける真澄くんに思わず目が点になる。

 「さっきからずっとアレ。」

 コソッと教えてくれた至さん。
/ 553ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp