第7章 豆桜
「俺は、分からない…」
「そっか。正解はないんだからさ、ゆっくりでいいと思うよ。
1人で考えてると悪い方向に考えちゃうって結構あるあるだからね。」
「…」
「わからないなら、いろんな人にきけばいいんだよ。春組のみんなとかね。」
「アイツらに?」
「うん。男の子同士だし、みんな真澄くんと同じ歳を経験してるんだから、きっと頼りになると思うよ。無理にとは言わないけど」
少し考え込んだあと、
「…考えてみる」
と立ち上がった真澄くんに釣られて私も立ち上がる。
「これ、ありがとう」
そう言って空になったカップを一旦お盆に置いてくれた真澄くんは、ブランケットのボタンに手をかける。
「いいよ、ブランケットは持ってて。悩める少年に、プレゼント。」
「でも、」
「せっかくあったかくなったのに、脱いで行ったらお布団入るまでに体温冷めちゃうでしょ。」
「…」
「それに、また悩む時あるだろうからさ。その時はそれをお供にしてあげて?」
「…わかった。」
「素直でよろしい。さ、もう夜も遅いし部屋行って寝な。魔法のミルク飲んだからきっとぐっすり寝れるよ」
真澄くんを部屋の前まで送る。
「お休み真澄くん。」
「おやすみ、なさい」
パタンと閉まるドアに、いい夢を見れますようにと祈りながらコップを置きにキッチンに戻る。
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ーーー
…と。
「え、」
久しぶりに見た、水色の触覚。
「あ〜めいだぁっ、こんばんわぁ」
夜中に現れた三角の妖精(仮)
「こんばんわ、三角くん。どうしたの?」
「んー、なんだか寝られなくて」
既視感のある感じに、三角くんにもホットミルクを作ってあげようかと提案する。
「いいの〜っ?」
「うん、もちろん。座って待ってて?」
「はーいっ」
「夕飯は済んでるんだよね?」
この間のことを思い出しながら、聞いてみるとコテンと首を傾ける。
「…スコーン、あるけど食べる?」
三角の形のそれを見せるとキラッキラと輝いた目。