第6章 丁子桜
「え?」
「メイメイ脱走しちゃって連絡取れないから、みんなで探してるんだけどってメールが入ってさー。いやぁ、ビンゴ!駅にいた!」
「‥面目ない」
「何で連絡取れなかったの??」
「充電し忘れてたみたいで、電源切れちゃって。挙げ句の果てにどこかわからなくなってたところ、怪我してるイケメンを拾いまして駅まで届けてもらった次第でして…」
「何それうけんね!ちょーっと待ってね!つづるんに連絡するから」
凄い手捌きでノールックでスマホをいじっていたかと思ったら、あっという間に綴くんに連絡してくれたかずくん。
「あー、もしもし。確保したよー、駅にいた!ん。あー、迎え来れる?りょーかい!あ、ビロード駅じゃなくて、そうそう。なんか迷子だったっぽい!でんわ?おけおけ、かわるー。
…はい、つづるんがお話したいってー!」
差し出されたスマホを拝借し、もしもしというとすごく盛大にため息をつかれた。
「あのー…」
『もしもし、芽李さん?』
「…う」
『アンタもういい大人なんだから、監督にも前に言われたでしょう。報、連、相って!そのための携帯なのに充電切らしちゃだめでしょう?まったく、みんな心配してるんすからね!」
返す言葉もないってこのことだ。
『説教はあとでしますから、今から至さん迎えにいくと思うんで、』
「そんな!1人でも帰れ」
『これ以上迷子にならないように三好さんと大人しくそこにいてください!わかりました?』
「はい…」
『三好さんと変わってください』
かずくんにスマホを渡すと二言くらい話して電話を切っていた。
「まぁまぁ、落ち込まないでよ。メイメイ」
「もうすっかりそのメイメイ呼びは固定したんだね、もういいんだけどさ、なんでもさ…年下に説教されたぁ」
「ドンマイ、いたるん来たら一緒に謝ってあげっからさ?ほら、キャンディ食べる?」
甘酸っぱいレモンのキャンディをもらってお話ししながら待ってると10分もしないで見覚えのある車がとまって、中から至さんが現れる。
ずかずかと私に近寄ってくると、ペタペタと私を触ってくる。
「どーしたの?」
「突然現れたモンスターに拉致られたって話だったから」
「どっちかっていうと私が拉致ったんだけど」
「まぁ、それはどっちでもいいんだけど。」