第6章 丁子桜
どうやってここまで来たんだっけ…
トボトボと歩いてたどり着いた場所は見たこともない場所で、あれから晴翔は帰れたのかと心配になる。
ちなみに私は絶賛迷子中だ。
よりによって、携帯の充電も切れていて最近じゃ公衆電話も見つからないし、せめて駅まで行ければ…
「ひぃっ」
今日はとことんついてないらしい。
よくわからん道の先で、誰か倒れてるのが目にはいる。
チョンチョンと触ってみる。
「…いきてます?」
変なところで発揮する度胸、よく見れば咲と同じ制服?
…ってことは高校生?
「ん…っ」
くぐもった声に思わずビクッとする。
「大丈夫?って、口切れちゃってる」
「…んた、ダレ?…!!兵頭!!」
「ん?」
勢いよく起き上がったせいかふらついたその子を抱きとめる。
よく引き締まった体ですこと…って、これセクハラ?てゆーか重くない?
「っ痛…あのやろう、ぶっ殺す」
物騒な子だな、うちの子がこうなってたら姉ちゃん困ってたわ。
「どーどー、とりあえず落ち着こうか?はいひっひっふー」
「それ、産む時だから。典型的なボケすんなよ、こっちはあちこちいてぇんだよ。」
「そっかそっか。立てる?」
「つか、アンタ誰だよ」
「いやいや、人に名前聞く前に自分から名乗ってよ。歳上はうやまわやわなんだっけ?」
「敬う、だろ」
「そうそう、敬わなくっちゃ!…って、綺麗なおめめで睨むのやめて?ちゃんと言うから、体重そんなにかけてこないでー。」
あれ、私この子と面識あったっけ?
いや、ないな。…なんだこの距離感。
「佐久間芽李、成人過ぎて絶賛迷子中の可哀想な大人ですよ。MANKAIカンパニーって知らない?」
「さぁ、…」
「そーだよね、有名だったらよかったー」
「そこがアンタの家?」
「そうそう、劇団の団員寮にすんでるんだ。君は?」
「バンリ」
「どういう字書くの?」
「万に里で万里」
話してみると、案外普通の子だと思った。