第6章 丁子桜
「全く、こんなんで泣いて騒いでたら本番見れないんじゃない?」
「…っ、どうしよう幸くん」
「知らない、俺に聞くなよ。いい大人なんだから。」
つっけんどんな幸くんに唇を尖らせれば、
「そんな顔したって知らないものは知らないんだから、というか慣れろ。」
と、一蹴にされる。
「それで、客集めは順調なの?」
「え!?」
「え!?じゃなくて。もうチケット販売始めてるんでしょ。」
そう言えば、そうだ。
と、支配人と幸くんのやりとりを見ながら思う。
「今何枚売れてんの?」
「それが……5枚です」
支配人と私と…?
「わたし、芽李さん、鉄郎くん、雄三さん、亀吉……」
「いや、全部身内!」
思わず出たツッコミにみんながこちらを向く。
いや、それはそれで恥ずかしい。
「確かに全部身内だし、亀吉からお金取っちゃダメだろ!」
「後3週間だけど」
「やばげ」
さすがのいづみちゃんも怒ってらっしゃる…
「少なくとも千秋楽は満員にしないと、この劇場は潰れちゃうんですよ!?何で、そんな重大なことを黙ってるんですか!」
「すみません……」
「何とか宣伝しないと。せっかくサイトもフライヤーもかっこいいの作ってもらったんだし」
「支配人、サイトのpv数はどのくらい?」
「え?!ぺー?ビュー?」
「閲覧者数のこと。もっとサイト見られるように拡散しよ。
俺のアカウントでも紹介するわ。五万人くらいにはみられてるし。」
サラッと凄いことを言ってるティボルト。
「ティボルトえげつな。五万って、日本人ほぼ見てるじゃん。」
なんてボソッと呟く。
「日本人口約120億なんでほぼじゃないっすけど、すごいっすね!?」
サラッと訂正するまきゅーしお。