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3月9日  【A3】

第6章 丁子桜


 「全く、こんなんで泣いて騒いでたら本番見れないんじゃない?」
 「…っ、どうしよう幸くん」
 「知らない、俺に聞くなよ。いい大人なんだから。」

 つっけんどんな幸くんに唇を尖らせれば、

 「そんな顔したって知らないものは知らないんだから、というか慣れろ。」

 と、一蹴にされる。

 「それで、客集めは順調なの?」
 「え!?」
 「え!?じゃなくて。もうチケット販売始めてるんでしょ。」

 そう言えば、そうだ。
 と、支配人と幸くんのやりとりを見ながら思う。

 「今何枚売れてんの?」
 「それが……5枚です」

 支配人と私と…?

 「わたし、芽李さん、鉄郎くん、雄三さん、亀吉……」
 「いや、全部身内!」

 思わず出たツッコミにみんながこちらを向く。
 いや、それはそれで恥ずかしい。

 「確かに全部身内だし、亀吉からお金取っちゃダメだろ!」
 「後3週間だけど」
 「やばげ」

 さすがのいづみちゃんも怒ってらっしゃる…

 「少なくとも千秋楽は満員にしないと、この劇場は潰れちゃうんですよ!?何で、そんな重大なことを黙ってるんですか!」
 「すみません……」
 「何とか宣伝しないと。せっかくサイトもフライヤーもかっこいいの作ってもらったんだし」
 「支配人、サイトのpv数はどのくらい?」
 「え?!ぺー?ビュー?」
 「閲覧者数のこと。もっとサイト見られるように拡散しよ。
 俺のアカウントでも紹介するわ。五万人くらいにはみられてるし。」

 サラッと凄いことを言ってるティボルト。

 「ティボルトえげつな。五万って、日本人ほぼ見てるじゃん。」

 なんてボソッと呟く。
 
 「日本人口約120億なんでほぼじゃないっすけど、すごいっすね!?」

 サラッと訂正するまきゅーしお。
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