第6章 丁子桜
「ふふ。
あくまでも無理をしないって言う条件付きだけど、真澄くん、これからもリードしてあげて」
私まで嬉しくなって思わず声を上げてしまったのをみてみんなも笑う。
至さんなんてコソッと"さすが姉弟"なんて言うもんだから、ひやっとする。
「バラしたら至さんのことバラすから。色んな意味で」
「怖い怖い、さてと。俺も稽古しよーっと」
ーーーー
ーー
そしてその日の夜…
ピンポーン
「はーい、あ!!幸くん!!」
「声うるさい、はしゃぎすぎ。‥元気そうでよかった。
って、アンタじゃなくて支配人は、いる?」
「うん、」
「瑠璃川くん、できたんですね!!!さ!どうぞどうぞ」
答える間もなく支配人がとんでくる。
「その前に下ろすの手伝ってよ。」
「もちろんです!さ、芽李さんも〜っ」
「え?ちょっと、」
一体何のことかと思いながらも促されたこともあって、ついていくと幸くんのご両親。
軽く挨拶だけすませてる間に、トランクから出された大きな袋を手渡される。
「挨拶は後で。芽李さんも持ってよね。先帰ってて、二人ともありがとう」
ご両親にもサラッと返した幸くんにぼさっとしないと怒られながらそれを稽古場まで運ぶ。
「じゃじゃーん!みなさん、衣装ができましたよー!」
「まだ調整するけどね。」
「これ、衣装だったの?!できたの?!ついに?!」
「今気づいたの、オレがただ遊びに来たとおもった?」
驚く私をよそに衣装を取り出していく幸くん。
「すごいね!かっこいい!」
「イイネ!」
「デザイン画は見てたけど、こうして実物見ると感動するね」
「中学生って聞いたときは大丈夫かって思ったけど、腕はプロ並みだな」
惚れ惚れしちゃうような刺繍に、ドキドキする
手触りや色合いまで素敵で、こんなの感動しちゃう…
「当たり前、ところで芽李さん。泣くのはいいけど衣装汚したら許さないから」
「え」
「ホントネ。」
「泣き虫だもんね、芽李ちゃん。はい、ティッシュ」
いづみちゃんからティッシュを受け取って使えば、確かに涙で濡れた。
「大丈夫ですか、酒井さん」
「大丈夫、」
「サイズ合わせするから、着て動いてみて。芽李さんも、さっさと泣き止んで。」