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3月9日  【A3】

第1章 寒桜


 「逃げ、た?」
 「ご両親と暮らした家に居たいというから援助したんじゃないか」

 …ちがう、

 「…っ、」

 …違う!

 「そんなに文句があるなら、そもそも弟も連れて一緒に住めばよかっただろう?」

 違う、違う、違う!!

 「あぁ、大家さんに良くしてもらっていたみたいだしなぁ」

 …なんて、汚いんだろうと思った。

 「…っ、それ、は、それは!!」

 それでも、返せる言葉なんてとても見つからなくて。

 「大家さんは、身内じゃなくて…わたしも、未成年で、だから、」

 それほどの武器を、まだ持ち合わせてなくて。

 「育てられないって?
 わたしたちと何が違うんだ?」

 走馬灯のように、今までのことが巡ってきて。

 「君も邪魔だったんだろ、お、」

 "弟が"

 その瞬間プツンと何かが切れて、

 迎えに来てくれた大家さんが私を止めるまで暴れ続けた。

 初めて、あんなに悔しかった。

 こんな人たちに、頼らずに生きていけたら…
 どれだけよかった?





























     
















         



















































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 夢の淵で、幼い私が止める。

 これ以上は夢を見てはいけないと…


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