• テキストサイズ

3月9日  【A3】

第1章 寒桜


 「逃げ、た?」
 「ご両親と暮らした家に居たいというから援助したんじゃないか」

 …ちがう、

 「…っ、」

 …違う!

 「そんなに文句があるなら、そもそも弟も連れて一緒に住めばよかっただろう?」

 違う、違う、違う!!

 「あぁ、大家さんに良くしてもらっていたみたいだしなぁ」

 …なんて、汚いんだろうと思った。

 「…っ、それ、は、それは!!」

 それでも、返せる言葉なんてとても見つからなくて。

 「大家さんは、身内じゃなくて…わたしも、未成年で、だから、」

 それほどの武器を、まだ持ち合わせてなくて。

 「育てられないって?
 わたしたちと何が違うんだ?」

 走馬灯のように、今までのことが巡ってきて。

 「君も邪魔だったんだろ、お、」

 "弟が"

 その瞬間プツンと何かが切れて、

 迎えに来てくれた大家さんが私を止めるまで暴れ続けた。

 初めて、あんなに悔しかった。

 こんな人たちに、頼らずに生きていけたら…
 どれだけよかった?





























     
















         



















































ーーーーーー
ーー

 夢の淵で、幼い私が止める。

 これ以上は夢を見てはいけないと…


/ 546ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp