第3章 *アリアーブ・ナーリヤ*
真剣に頷き、今度こそとカップを構えてアイスを受け取ろうとするが、店主はまたからかうようにアイスを寸前で引き上げてマレウスを焦らす
マレウス『....』
?『あはは、どうだい!伸びるアイスなんて初めて見ただろう!』
パフォーマンスの成功に店主は楽しそうに笑うが、マレウスは無言のまま店主をじっと見つめていた
トレイ『マレウス..もう何回も、アイスを鼻先に突き出されては、焦らされているな..』
ジャミル『うわーーーー!!!申し訳ありませんマレウス先輩!遊びとはいえ我が国の者が無礼な真似をっ!』
ケラケラと笑う店主とそれを黙って見つめるマレウス。一言も発しないマレウスの様子に、パフォーマンスだと知らずに機嫌を損ねたと思い込んだジャミルは、1人激しく焦りながら人混みを掻き分けて謝る
ジャミル『どうか、どうかお目こぼしを..!』
マレウス『..何を言っているんだ、バイパー?』
しかしジャミルの想像とは違い、マレウスは一切不機嫌な様子もなくキョトンと見つめていた
ジャミル『いや..あの、ずっとアイスを取らせないイタズラをされてお怒りになっていましたよね?』
恐る恐る問いかけると、マレウスは小さく笑みを浮かべながら首を横に振った
マレウス『これくらいで、僕が怒るわけないだろう。店主のパフォーマンスに感動していたんだ』
『ジャミさん。ツノ太郎は、そんなおこりんぼじゃない。優しい妖精さんだもん』
ジャミル『う..わ、悪い..』
?『ショーはここまで。さぁ、食べてくれ!』
店主はアイスをマレウスのカップに今度はしっかりといれて手渡した
マレウス『ありがとう。いただとしよう』
?『ほら、そこの彼女も』
『ん...あっ、』
アイスの入った棒を伸ばされたのでカップを差し出すが、ヒョイっと持ち上げられ先程のマレウスと同じようにパフォーマンスを食らった
?『油断しちゃダメだよ!ほら、入れてやるからカップ出して』
『んふふ..ビックリした』
?『さ、あんたも食べな!』
『ん、いただきます』
一口掬って口に入れると、途端に冷たさが一気に口内に広がり、少しモチッとした食感、そしてその後から甘さがフワリと広がった