第5章 *LIB ナイトメア・ビフォア・クリスマス*
買った覚えのないハンカチに首を傾げながらも、他のものが入っていなかったため、それで溢れ出る涙をそっと拭う
自分でしているはずなのにまるで誰かに拭われているように感じ、そしてある程度止まったところで拭うのをやめると、今度は目尻に温かく柔らかいものがそっと触れたような気がした
それはまるで、泣かないでと言っているかのように
『....』
ユウ『大丈夫?落ち着いた?』
『ん。心配かけてごめんね。もう、大丈夫』
ユウ『良かった。でも念のため一旦寮に戻ってちょっと休もう。多分準備とかで疲れが出たんだね』
『分かった。
ねえ、クロさん』
学園長『どうされました?』
『この絵って、ハロウィーンの時はクロさんのお部屋に飾るんだよね?だったら、ハロウィーンの日に見に来てもいい?また、見たいの』
学園長『ええ、もちろん構いませんよ。いやあしかし、そこまで感動して気に入っていただけるとは思いませんでした。偉大なる大先輩に、さんも酷く感動されたんですね。分かりますよ』
『ん..この人、好き..あの綺麗な瞳も』
ユウ『なぁんか妬けちゃうなぁ..』
『んふふ。ヤキモチのユウ可愛い』
ユウ『こーら。帰ったらいっぱいギュッてするから覚悟しといてよ。さあ、先輩たちみんな行っちゃったことだし、僕らも帰ろっか』
『ん』
グリム『おう!』
クロウリーに手を振って別れを告げると、3人はこれから始まるきっと楽しく忘れられないハロウィンに胸をときめかせ、ランタンの灯りが導く寮への帰り道を歩いていった
かつて1人の内気な青年が、その人生を懸けて幼い頃より憧れていた人物に倣い、世界中に広めた"最高のハロウィーン"を楽しむために
とある世界のとある場所。巨大な満月がぽっかりと浮かび、十字架や墓が並ぶ広大な世界をその光が優しく照らしていた
先端が渦を巻いた謎の丘が特徴的なその場所に、上空から白く柔らかいものがフワフワと落ちていく
次第に積もっていくそれは夜の大地を真っ白に染め上げ、月光を反射してキラキラと輝き、もうすぐ訪れるであろう冬からの贈り物だった
The END........?