第3章 *アリアーブ・ナーリヤ*
ケイト『でも、どうしてジャミルくんはマレウスくんがここにいるって分かったの?カリムくんを見て驚いたってことは、連絡を取り合ってたわけじゃなさそうだし』
ジャミル『ああ、そのことですか。その服の飾りにはGPSがついてるんですよ』
『『『GPS!!??』』』
突然のカミングアウトに、トレイたちの背に悪寒が走る
『ジーピー..?』
カリム『そいつの居場所とかを知らせる機械のことだな』
『凄いね..』
ケイト『え、待って。もしかしてマレウスくんだけじゃなく、オレたちの服の鈴にも..』
ジャミル『はい、勿論です』
ケイト『怖い!!今すぐこの鈴捨てよう!!..あっ、あれ?』
恐怖を感じて鈴を取り外そうと手をかけるが、いくら引っ張っても取れる気配はなかった
トレイ『ダ、ダメだ..しっかりと縫い付けられてる。いくらなんでも、GPSはやり過ぎじゃないか!?』
ジャミル『絹の街は人通りが多い。みなさんの居場所が分からなくなったとき万が一にも、スマホが使えないと連絡がとれなくて大変です。
その点、GPSがあれば俺がこうして合流できます。実際、役に立ったじゃありませんか』
トレイ『う~ん..それを言われると..』
カリム『ジャミルにかかれば、どんな問題もパパッと解決だぜ』
ジャミル『本当は問題など起きてほしくはないんだがな』
マレウス『バイパーの言うとおり、ラクダバザールと同じく、この市場も人通りが多いな』
ジャミル『はい。ザハブ市場は、飲食店だけでなく、絹織物や食器・インテリアなどを取り扱う店も多くあります。ここも、絹の街の住人にとって、なくてはならない市場です』
トレイ『ラクダバザールと同じように、この市場の名前にも、何か由来があるのか?』
ジャミル『ザハブには黄金という意味があります。黄金でさえ手に入る市場という意味で名付けられたとか。実際、高級な品々を取り扱う店が沢山ありますよ』
ユウ『高い物かぁ..』
ジャミル『みなさんには買い物を楽しんでいただきたいですが、貴重品の管理はしっかりとしてください。高級品を買いに来るお客の財布を狙って、スリを行う不届き者もいますので』
『ス?』
ジャミル『他人の財布を奪って金を自分のものにすることだ。単純に言うと、盗みだな』