第1章 *ハッピービーンズデー*
『むぅ』
アズール『残念でしたね』
『いいもん』
サム『おやおや拗ねてしまったかな?可愛い小鬼ちゃん。ところで、アズールくん。購買部が中立地帯というのはご存じかな』
アズール『勿論ですよ、サムさん!購買で暴れるのはご法度、ですよね。ご安心を。店内の商品を壊すような真似はしません。ジェイドが見つかればすぐに出ていきますよ』
ニコニコと答えると、ジャックの方へ向き、嗅覚でジェイドの居場所を見つけるよう指示した
その指示に不服そうにしたジャックだったが、それに従い鼻を効かすと、部屋の隅の木箱の後ろからジェイドの匂いを感じ取った
ジャック『ジェイド先輩、覚悟!』
手を伸ばし、衣服のようなものを掴む感覚に、確実にとらえたと思ったジャックだったが、そこにはジェイドはおらず、ジェイドの上着を纏ったかかしだった
ジャック『よし、捕まえた..ん?なんだこりゃあ!?』
アズール『ジャックさん、いけない!かかしを引っ張らないでください!』
ジャックがかかしを引っ張ると、かかしにくくりつけられていたキラリと光る糸が引かれ、それは近くの棚にも伸びていたため、棚に置かれてあったものが次々と落ちていった
そしてあるビンが割れた瞬間、凄まじい匂いが辺りに広まり始めた
ジャック『やべぇ。売りモンのビンを割っちまった!うぐっ..なんだこの強烈な匂いは!?』
『ぁぅ...鼻痛い..』
アズール『青臭い独特の香り..割れたビンの中身はドリアンジュースだったようですね』
ジャック『くそ。部屋にここまできつい臭いが充満してたら、人探しなんて不可能だ。、お前の聴力でどうにか出来ねぇか?』
『ぅぅ..臭いキツすぎて集中できない』
アズール『さんの聴力まで..ここまで罠を仕込むとは、ジェイドのやつめ。手こずらせてくれますね。仕方がありません。ジェイドを探すのは中止して、次の場所へ行きましょう』
ジャック『いいのか?』
アズール『ジャックさんの鼻とさんの耳が利かなくなってしまった今、闇雲な捜索は時間を無駄にするだけです』