第3章 *アリアーブ・ナーリヤ*
グリム『よし、丸ごと食べてやるんだゾ!』
『あ、そのままは..』
果肉を食べられると分かった瞬間、グリムは大きく口を開けてココナッツにそのまま齧りついた
その瞬間、ガリッと嫌な音がしてグリムの歯に痛みが走った
グリム『かっ、硬すぎる..歯が折れそうなんだゾ!』
ジャミル『そのまま齧るやつがあるか!ナイフで割って、中の果肉を取り出すんだ。ココナッツの身はとても硬いんだ。道具を使わなければとても割ることなんて出来ない』
トレイ『それならお店でナイフを貸してもらうか』
マレウス『..僕に渡してみろ、クローバー』
突然引き留めてきたマレウスに首を傾げつつも、言われた通りココナッツを渡す
トレイ『ん?ああ、かまわないが..』
マレウス『要はこれを割ればいいのだろう?』
バカアッ!!と凄まじい音を立てて、ココナッツはマレウスの手によっていとも簡単に割られた
マレウス『ほら』
トレイ『..あ、ありがとう』
ケイト『ココナッツの実を、卵みたいに真っ二つに割るなんて..』
トレイ『これがココナッツの果肉か。ヨーグルトを固くしたような独特の食感だ。加工されたものをお菓子作りに使ったことはあったけど、生は初めて食べるよ』
ナジュマ『すごーい!私のも割ってください!』
ジャミル『こ、こら、ナジュマ!マレウス先輩を何だと思ってるんだ!』
マレウス『僕は構わないが..』
グリム『マレウス!オレ様のも割ってくれ!ユウもも頼んだ方がいいんだゾ!』
ユウ『じゃあ、お願いねツノ太郎』
『お願い...』
ケイト『じゃあ、オレのも~♪』
次々と割ってもらおうと集まるユウたちに、トレイは苦笑いしながら、ジャミルは頭を抱えながらその光景を見ていた
マレウス『ほら..』
『ありがと』
ユウ『ありがとうツノ太郎』
『あむ...ん..これも美味しい』
ユウ『うん、美味しい。ジュースも良いけど、果肉もいけるね』
マレウス『そう頬張っていると、兎というよりリスのようだな』
頬いっぱいにココナッツを溜め込むの頬を、マレウスは愛おしそうにつついた
『む"ぅっ...』
ユウ『あはは、嫌がってる嫌がってる』
マレウス『ふ..面白いな』