第3章 *アリアーブ・ナーリヤ*
『いただきます..あむ...っ~~!!』
ユウ『どう?』
『ん...おいし...』
ようやくありつけた食事だからというのも相まって、一口かじったその顔はへにゃりと緩みきり、明らかに幸せだと言っているようなものだった
ジャミル『良かったな』
ユウ『むぐ..あ、ホントだ、凄く美味しい!!』
グリム『いっただきまーす!!むぐむぐむぐ..』
全員思い思いにシャーワルマーを食べ進め、美味しいと絶賛していることにホッとしたジャミルも、自分の分を食べようとしたその時、
ジャミル『..あれ?おかしい。俺の分のシャーワルマーがないぞ』
マレウス『バイパーの分の注文が、通っていなかったのではないか?』
ジャミル『いいえ。確かに7個買って、受けとりました』
ケイト『それじゃあ..どこかの腹ペコモンスターが、勝手に食べちゃったとか!』
トレイ『なるほど。その可能性は大いにあるな』
二人の言葉に、周りの視線が一気にシャーワルマーを頬張るグリムへと注がれる
グリム『な、なんでみんなしてオレ様を見るんだゾ..!?オレ様がそんなことするわけねーだろ!ジャミルから盗るより、屋台を襲ってまるごと盗った方が簡単だしいっぱい食える!』
ジャミル『絶対にやめろ』
ケイト『冗談だって。ごめんね、グリちゃん。えーと、シャーワルマーを持っているのは?』
トレイ『俺、ケイト、マレウス、グリム。ユウに。それと..』
トレイがシャーワルマーを持つ周りの人数を数えていく。すると、ジャミルのすぐ後ろでシャーワルマーをかじる1人の少女の姿があった
?『もぐもぐ..うん。まーまーイケるじゃん。今度から私も、このトッピングにしよーっと』
手に持つシャーワルマーの味に満足そうに頷いたその見知らぬ少女に、一同はピシッと固まった
『『『....』』』
グリム『し、知らねーやつが食ってるんだゾ!?こいつが犯人だ!!』
トレイ『きみ、どこから来たの?1人なのかな?勝手に他人のものを食べたらダメじゃないか』
下に兄弟がいるトレイは慣れた動きで少女と目線を合わせるように腰を屈め、優しく諭すように語りかける
?『ふふふ。他人のものが駄目なら、私は問題ないかも?』
トレイ『え?』