第3章 *アリアーブ・ナーリヤ*
ジャミル『この国に、運河や陸路が発達するまでは、売り物や荷物を運ぶのに、ラクダが使われていました。そして、この場所にかつてあったオアシスで、商人たちは、ラクダを休ませていたそうです。
彼らが自然とここで商売を始め、やがて市場へと発展していった..というわけですね。今では公益や商売には船や車が使われているので、その姿はありませんが、名前には残っています』
マレウス『なるほど。名称1つとっても、歴史があるものだ』
ジャミルの話に関心を寄せる中、空腹の限界を越えたグリムがいい加減食わせろとせがんだため、本格的に屋台を廻ることにした
『グリム..あれ』
グリム『ん?すんすん..』
『ジャミさん、あのお肉..』
ジャミル『あれは、シャーワルマーだな。レストランでは、皿に乗せて野菜と一緒に食べるが、屋台ではバゲットに挟んだり、ラップサンドにしたりして食べるファストフードだ』
ユウ『野菜も入ってるから、も食べられるね』
『美味しそう..』
ジャミル『先輩たちからは注文は聞いた。お前たちは?』
『野菜いっぱいの..』
ユウ『じゃあ僕はお肉マシマシで』
ジャミル『分かった、それでは注文してこよう。ちょっと待ってろよ』
『ぁ...ぅ..』
ジャミル『食べたいか?』
『ん..』
ジャミル『そうか..』
全員分のオーダーを淀みなく記憶し完璧に注文を終え、7つのシャーワルマーを抱えて戻ってきたジャミルは、一人一人に渡していく
最後に、の分を手渡そうとしたのだが、目の前で空腹に耐えながら、シャーワルマーを待つその物欲しそうな表情に、少し意地悪したくなり、敢えて渡さず目の前でユラユラと揺らす
もで、奪い取るなり早く渡せと言えば良いものを、律儀に渡されるのを待ちながら、食欲をそそる匂いに顔をとろけさせていた
『は..ぁ..ぅ..』
ジャミル『(可愛いすぎないか?)』
ユウ『早く渡してください』
ジャミル『い"っ!!分かった分かった!..はあ、悪かった、』
『ありがと..』
余りにも渡す素振りがないことに腹立ったユウからの脛蹴りを食らい、痛みに耐えながらシャーワルマーを渡した