第3章 *アリアーブ・ナーリヤ*
トレイ『明らかに他の一般席とは、格式が違うな。まるで高級ホテルのスイートルームだ』
ジャミル『あそこには、招待されて外国から来訪した著名人や芸能人も、座る特別席です』
マレウス『観覧席を覆っている天幕の緑色は、この国に来てから何度も見るな』
ジャミル『ピーコックグリーンは、伝承の姫君が好んで身に付けていた色だそうです。祭りの最中は、ピーコックグリーンを基調とした織物で、街中が飾り付けられていますよ』
『あっちは赤だよ』
ピーコックグリーンのスペースの横に、小さめに用意された赤の天幕がかかったスペースが目に飛び込む
ジャミル『あれは、やはり国民人気の高い、伝説の魔術師のイメージカラーだ』
『ジャミさんの色みたい..』
ジャミル『...、嫌じゃなければ..』
ぐぅぅ..っと突然、腹の虫の鳴く音が小さく聞こえた。すると、お腹を押さえ、顔を真っ赤に染めたが恥ずかしそうに俯いていた
『ご..ごめ..//』
『『『(くっそ可愛い!!)』』』
グリム『もう花火の話はいいだろ。オレ様も腹減ったんだゾ!!』
ジャミル『分かったよ。じゃあ、ラクダバザールへ行こう』
少し笑いながら、ジャミルは一同を連れて歩きだした
ユウ『ふふ、お腹空いたね』
『むぅ..//』
ジャミル『待たせて悪かったな』
熱砂の国・ラクダバザール
大会の会場から少し歩いたそこは、色とりどりのテント、そして色とりどりの食べ物や物品がところ狭しと並べられ、視界全体がとても華やかな市場になっていた
ジャミル『みなさん、ラクダバザールに到着しました』
『いっぱい..並んでる』
マレウス『絹の街の人々は、ここで日常品の買い物をするのか』
ジャミル『地元民も、野菜や魚などの生鮮食品は、ラクダバザールに買いに来ますが..観光客向けの屋台グルメの店も多いですね。今みたいな観光客の多い時期は特に』
マレウス『...おかしいな』
ジャミルの説明を受けつつ辺りを見渡して、あるものを探すマレウスにトレイは首を傾げた
トレイ『どうした?』
マレウス『先程から探しているが、ラクダが一頭も見当たらない』
ユウ『確かに、ラクダバザールって名前してるから、てっきりラクダがいるんだと』