第3章 *アリアーブ・ナーリヤ*
ジャミル『成る程..、お前は何をしたい?何でも良いぞ』
『...んと、私はご飯食べたい。あと、アクセサリー..気になる』
ケイト『女の子だね~♪』
ジャミル『分かった。ユウ、お前はどうせが行くならどこへでも、だろ』
ユウ『当たりです。それに、先輩たちの行きたいところは自分も興味あるので』
ジャミル『よし。それなら..まずは、ラクダバザールへ行きましょう』
ユウ『はぐれちゃダメだからね』
『ん』
そうして、ジャミルたち一行は観光を満喫すべく再び街へと繰り出すのだった
熱砂の国・花火の観覧席
マレウス『開けた場所に出てきたな。ここはなんだ?』
ジャミル『ヤーサミーナ河 花火大会のメイン会場です。ラクダバザールはこの先ですが、折角なので中の様子も見ていますか?』
メイン会場に足を踏み入れると、そこはまだ本番まで時間があるにも関わらず、人が大勢集まっていた
ジャミル『ヤーサミーナ河 花火大会は、とある伝承から生まれたお祭りだと言われています。
民のことを思う美しい姫と、貧しくも心優しい青年..身分の差を越えて、二人は永遠の絆で結ばれた。その愛を祝福するために、ランプの魔神が夜空に無数の光の輪を打ち上げたと言われています。
その幻想的な光景は、見る者の心に深く残り、延々と語り継がれていったそうです。
やがて、姫と青年が結ばれたことを、熱砂の国の人々は花火で盛大に祝福するようになりました。そして、今日のように熱砂の国の伝統行事になったのです』
ケイト『素敵な伝承だね~』
ジャミル『それと、みなさんの衣装に、白い花がついていますね。それは、ジャスミンという名の花です。伝承では青年が姫君に贈った花とされていて、この花火大会のシンボルとなっています』
マレウス『だから、祭り用の衣装に装飾されているのか。造花ではなく生花だから、瑞々しいな。それに、良い香りがする』
『これ..カリムさんがくれたのと、同じ..』
頭に飾られていた花をそっと取り外し、いつかの日を思いだし頬を染める。愛おしげに花を見つめる、その恋する乙女のような表情に、そのことを知っているユウとジャミルはモヤモヤとした感情が膨らんだ